芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

マリーゴールド

 

ミュージカル『マリーゴールド

2018.

8.25-9.2  東京 サンシャイン劇場

9.7-9       大阪 梅田芸術劇場シアタードラマシティ

 

母と娘には互いが必要であった。
青年はその母を自由にしてやりたかった。
少年たちは娘に「同じ夢を見よう」と語りかけた。

http://marigold.westage.jp

 

 

※少なくともLILIUM、マリーゴールドのネタバレ

 

 

 

8.26夜 1階17列センター

9.1昼 1階5列下手寄り

にて

 

 

 

「酷くないですか?」

同行者への第一声がこれである。

 

正直、観るまで「やるこたぁ分かってんだ…かかってこいよ…」という超強気の絶対負けるもんかマンだったのだが、面白いくらいに完敗した。(やることはやっぱりやった。)

げろげろに泣いた。先日同じサンシャイン劇場の「野球」で過去最高記録樹立するほどに泣かされたのだが、これといい勝負だった。TRUMPシリーズはLILIUMが一番好きな私、大ダメージ。でも流石に『花言葉』で泣いたのは自分、どうかと思う。

少年たちは娘に「同じ夢を見よう」と語りかけた。

の一文もしっかり読んでたし、ソフィがみちゅで直前無料放送はD2版TRUMPのREVERSEやってたし、マリーゴールドでめいめいってのも分かってたし、何ならグランギニョルパンフの年表でマリーゴールドの結末は「母を殺すこと」だと分かってたのに、何でかな、全部忘れてた

大抵の舞台はある程度展開の予想が嫌でもできてしまうものだが、目の前の演劇が、次の展開を予想する思考回路に隙を与えてくれなかった。

 

 

母と娘、異性、姉妹、の愛、愛、愛。どれもこれも重くて重くて仕方ないのに、噛み合うものは少ない。愛ゆえに幸せになったり不幸になったり。

ソフィの「同じ夢を見よう」という勧誘も、ソフィにとっては紛れもなく愛ゆえだった。「君を愛してるんだ」も嘘ではなかった。ただその愛の解釈が、自己愛だった。だって「僕は君であり、君は僕」。ソフィ・アンダーソンは自分しか愛せない。

紫蘭と竜胆、初期のスノウのような最初から永遠を望む子を選べばいいのに、ソフィ自身が永遠を望まないせいで、誰も選べず誰も愛せない。だから「望む望まないをそもそも考えることをさせない」のが擬似クランで、「永遠を強制させる」のがウルという薬なのかなぁ。

ガーベラが「永遠なんてクソくらえよ」と言った瞬間のソフィの発狂は、リリーの時と同じだが、永遠を否定されることはソフィの存在そのものを否定されるに等しいと解釈した。

しかし何百何千年経ってもダンピールは迫害対象であること、不可侵条約に何の変化もないこと。あまりに文明が停滞しすぎている。TRUMP世界軸のなかで、既に何度か人類がほぼ絶滅してることを疑う。滅びぬ者は生命のために鎮魂歌を捧げるでしょう…。

 

 

舞台上そのまま有楽町の劇場に転送しても違和感ない。これ、帝劇で聴けるやつだ!

アンサンブルの使い方や曲などが、何となく海外輸入ミュージカルっぽい。『ケリトン出版社』にテナルディエ夫妻とかの「明るい悪役」の匂いを感じる。『ダンピール狩り』はフランス革命の決起シーンを思い出したんだけど、確かに悪役寄りに描かれるクロッカスも、家族を殺された人間たちも、ダンピールという悪を叩く"正義"なんだよなぁと思った。

『我は守護者なり』などのキャッチーロックには安心感を覚える。ただし歌唱力のボクシング世界大会決勝戦って感じ。後日DVDで見た時、生でもう一度鼓膜ぶん殴られたいと心の底から思った。繭期ライブをやってくれ。

そういえば先日LILIUM見返して気付いたんですけど、LILIUMの『葬送終曲「聖痕《スティグマ》」』とここの4人の構図全く同じなのね…。

 

キャストもあまりに上手すぎる。

円盤で見るとよく分かるんですけどソフィ、三津谷さんの目がヤバい。光が入ってるのに、5000年先を見つめてるような目がヤバい。

コリウスは基本スタイルが異次元すぎて見ちゃうよね。事前ビジュアルとかブロマイドからキm…変なキャラかと思ってたけどそうでもなかった。こいつヤバいなと思ったのは、ヘンルーダの話を聞いてる時のゴロゴロビタンビタンくらい。そういえばこの人すごいカッコいい春林だったわ。

とんちゃんはいつの間にあんな歌上手くなってたの?最後に歌を聞いたのがドラマClubSLAZYだから参考にしていいものか微妙だけど、すごくミュージカル寄りの発声になってて驚いた。

 

愛加あゆさんがTRUMPシリーズ2回目だと、観劇どころか映像視聴して初めて気付いたんだけど、それくらいフリーダ様の面影がなかった。愛加さんは2015年の「音楽劇 星の王子さま*1が初見だったんだけど、見る度に印象違うなぁ。役者として、地味に凄いことだと思う。

 

 

公演2日目の話。

私含め初見観劇が多かったんでしょうね。

ソフィーがウルのことを「キャメリア」と呼んだ瞬間、

ヒッ………

という悲鳴が、さも日替わりネタで笑いが起きるかのように、自然に会場に響いた。私、観劇してて、人が「ストーリー展開に本気で悲鳴をあげる」の初めて見た。後半の観劇ではさすがに発生してなかったけど、これ絶対末満さんほくそ笑んでるでしょって思っちゃった。

"ウルごっこ"させられてるのはキャメリアだけじゃなくて、適当に連れてきているそうで。*2こはちょっと安心したり。キャメリアだけがまた何か背負ったわけじゃない…かもしれない。

 

 

TRUMPシリーズとは、最新公演を見る度に過去作の傷口が広がるものですが、マリーゴールドは想像以上にLILIUMの傷抉られた。

そういえば、TRUMPシリーズ、そろそろBlu-rayで出してくれませんかね…暗い映像の解像度がさ…。

ちょっと書くのに時間経ってしまったから感想薄めで終わり。

 

 

 

自分用メモ

ヘンルーダ=ヤン・フラ

・原初信仰は法律で禁止されている

マリーゴールド時点の各年齢

ガーベラ 15?

アナベル 38

エリカ 29

ヘンルーダ 40

逆算するとエリカ14歳の時に「妹じゃない」って家放り出されたってことか?それはキツイな?

・登場人物の花言葉まとめ

アナベル:ひたむきな愛

ガーベラ:希望

コリウス:かなわぬ恋

エリカ:孤独、博愛

ソフィ(ファルス):永遠の絆

ウル(キャメリア):常にあなたを愛します、控えめな優しさ

ベンジャミン:友情、信頼、融通のきく仲間

ヘンルーダ:悔恨、軽蔑 (草に"中絶"の効能あり((効能については偶然らしいですけどね)))

マリーゴールド:絶望、嫉妬

 

 

 

 

 

★★★

*1:これ著作権関係で円盤出てないけど、本当~~〜に素晴らしい舞台だったからいつか見られる機会があるなら……いや生きてるうちに何としてももう一度見たい。

*2:末満さんのニコ生より