芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

【映像】文豪とアルケミスト 綴リ人ノ輪唱

 

『文豪とアルケミスト 綴リ人ノ輪唱』

2020.

9.12-22  品川プリンスホテル ステラボール

9.25-27  京都劇場

文学作品を守るためにこの世に再び転生した文豪たち。 館長に導かれ、憧れの芥川龍之介と出会い、喜びに浸る太宰。 しかし、そんな平穏を壊すかのように、北原白秋の『からたちの花』が侵蝕され、 作者本人が自身の作品に“取り込まれる”という、未曾有の事態に。 北原とその作品を救うべく、太宰ら文豪たちは潜書をするが――

http://bunal-butai.com

 

 

9.25 東京千秋楽配信 にて

 

 

 

当たり前のようにネタバレ。文アルミリしら(アプリDLはした)、1,2視聴済み。

 

 

 

 

初日がズレるという未曾有の事態。コロナ許すまじ。

今回こそは行きたかったけど、チケ代に怯んで配信という選択をしました。

そしたらなんか、文劇終わりっぽくて泣いてる。

すごい最終回感。というか最終回。まだまだ文豪いるし、勝手に続くもんだと思ってた私が愚かだった。遂に一度も生観劇できなかった。後悔している。

今回の舞台セットめちゃくちゃカッコイイのよ。退廃的で。だからじっくり隅々まで見たかった。後悔。

後悔だらけだから、Blu-ray買いました。このご時世珍しい、物販の充実ぶりなのでアニメイトでブロマイド買います。

そういえば、初めてマウスガード有りの舞台を見ました。いくら透明言えど、やっぱり無い方がいいなあ。封神演義2も有るのかなあ。やだなあ。

 

 

 

東京公演前半辺りにおもむろにTwitterで「文劇3」と検索したら、予測検索に「地獄」と出てきて、混乱した。あの希望に満ち溢れた文劇が?どうした?文劇3が初文劇の友人に「地獄だったんですけど今までもそんな感じだったんですか?」と言われたけど「いやそんなはずは」と返すしかなかった。あの文劇に何が起きているのか?地獄好きの私は絶対に見る意志を固めた。

結局、東京千秋楽配信最終日の終了6時間前に駆け込み視聴した。駆け込みしたくせに、時間ギリギリまで通しで2回見たし、EDリピった。

 

地獄の噂は真であった。

 

待って、待って。なぜ、人が死ぬ。しかも割とえげつない殺し方だ。串刺しはよくない。乱れ撃ちはよくない。

中也さんの死に際が切なすぎて、なんだか落ち込んだ。配信だけど、悲しい顔のひとつに並べてほしい。

死ぬのが生前の没年順とかいうの、創作者ってそういうのやりがちだよね。申し訳ないことになぜかグッときてしまうものがあるのよ。いやはや、どうして文劇で人が死んでるんだ…?

 

そもそも、既に一度転生してるはずの太宰がすべて初見の顔してて、2で会ってるはずの芥川と朔太郎が初見の反応してるってどういう事なんでしょう。

あれだけ思い思われしてた太宰と芥川について、太宰側は3が初対面であるかのような会話をする切なさよ。前回の転生の記憶が無い。つまり文劇1,2時空から、全員一度は死んでる(「絶筆」というらしい)ってこと?でも芥川さんはラストで「また出逢えたね」と言うし、途中の会話でも前回の記憶があるようなないような反応でもあるような。要確認。

芥川さんは分からないけど、太宰は確実に記憶無くしてるんだよね。一度芥川作品が潜書されてるのに、太宰が「潜書された本は望まれなかった作品」だなんてことを信じるはずがない。

"輪廻転生"が在ると明言されている作品だが、何だろうな、この寂しさ。

でも太宰はポジティブなんだよな。芥川先生が転生しててまた会えるかもしれない、と。例え記憶がなくなっても「俺は行くよ」、と。そこが救いであり、明確に"ハッピーエンド"だと分かるラストだった。太宰が主人公で本当に良かった。地獄の中に、たくさんの強い魂の輝きを見たなあ。

ところで初演で太宰に救われた芥川(ヒロインかと思った)。3では太宰が芥川に救われる構図に見えるのは私だけか?琴線に触れる。輪廻しているような気がする。初演見返したい。

 

 

文劇3、たくさん良い言葉が詰まってた。特に何かしらの創作者には刺さるであろう。

全体主義と"個"の話。一応アプリもチュートリアルだけやった私すら「あれ館長ってこの人だっけ」と思うくらいなんだから、ユーザーはもはや、明らかに最初から黒幕と気付いていてもおかしくないのでは?それとも刀剣の本丸みたいに、各々色んな帝國図書館があるからと納得していた?

館長に「文化芸術を全て消して去ってみろ。その世界に何が残るのか」(ニュアンス)という白さんの叫びは、確かに今の風潮にも言えることで*1。やはり人は芸術なくして、真に豊かにはなれないのだと強く認識させられた。私も軽いいち創作者ではあるから何となく分かるけど、「書けなくなったら死ぬ」は本当だ。

 

今回の潜書は「からたちの花」と「怪人二十面相」。もう一つ、白さんの作品が潜書対象になったけどタイトルは明かされず。白さんの「この道」も出てくる。

北原白秋、懐かしい、優しい気持ちになれると比喩されると読んでみたくなる。こういうところが文豪モチーフの作品の良いところだと思う。文豪が亡くなっても作品は残り、作品に出逢い、出逢った人の中で生き続ける。これが文豪の魂。

 

 

キャラについて。

私本当に本当に本当ーーーーに、くぼひでさんの芥川さんが大好きなんですけど、今回も最高に素敵な物腰と身のこなし、キレのある殺陣、チラ見えどころか割と見える足首、煙草を挟むお綺麗な指先、顎に手ポーズの時に見える手首と筋、最強の顔面であった。文劇皆勤賞おめでとうございます。(乱歩さんもね)  煙草コツコツしちゃうのも可愛いんだけど、カテコでマウスガードちょっとズラして吸う(よね?)果てしない色気に何回かやられた(リピった)。

ネガティブな発言しまくって、太宰にそんなこと言わないでくださいと言われた時の「癖だねぇ」の明るい自虐のような言い方とか、「ライト兄弟よりずっと遠くの世界に飛んでいける」(ニュアンス)の本当に広い世界を見ているような言い方とかがすっっっごい好き。相変わらず文アルミリしらだが、原作の推しも芥川さんになるんだろうか。アニメ見ようかしら。

太宰は素直で愚直でどこまでも真っ直ぐで、本当に可愛い。誰よりも生命力強そうなのに、生と死の境目、薄氷の上にいるってんだから何と不安定な男だと改めて思う。その不安定さが愛しいよ。

萩原朔太郎って北原一門だったんか……。いや全然詳しくないもので……文劇2にソロで出てたのがちょっと不思議だなといまさら思った。若干文劇2の記憶が曖昧だから申し訳ないんだけど、朔太郎、前より強くなったなという印象。

今回のキーパーソンである白秋さん、あのたおやかさでごっっつい二丁拳銃って、どこの性癖向けなんだよ、刺さったよ。元不良シーンがさとちゃんって感じがしてニコニコした(失礼)。前述の「文化芸術を全て消し去ってみろ」の白さんはあまりにも格好良い。

てか文劇3のキャラ、飛び道具多いな。そりゃシューティングゲームにもなるわ。太宰のボタンシャカシャカ引っ掻くようなコントローラー捌きが懐かしい感じで笑った。

ブルズさんは相変わらず衣装もアクションもカッコイイ。髪は全員染めてるんだっけか。お洒落。ブルズさんこそ生で観たかった…絶対目が足りなくなるけど…。

 

 

演出について。

今回もなぜ配信で見た(100億回目の後悔)とばかりに最高の演出だらけだったのは自明。きっとカメラの外でも最高だったんだろうな…。正直「○○年○○没」の垂れ幕演出、辛さと相まって興奮してしまったな…何だこの感情は…。

布の演出とか、生で見たら絶対もっと派手で凄いと感じるんだろうなと思うことしきり。

他の方の感想で見たんですけど、全員絶筆した後の太宰と白さんが回想の中で、突然「文豪とアルケミスト」のタイトルが書かれた台本を手に芝居するシーン。突然あからさまな台本で、配信で見る限り「稽古間に合わなかった故の、演出に見せかけた救済措置なのか?」と思ってしまったんだけど、あそこ肉声で客席ライト点いてるって本当ですか????「客席にライトが点く」。この演出はどこにいっても超重要、絶対に意図があるギミック。客席ライト、現実の台本。つまり文劇の世界と現実の世界がリンクしたってこと。考察したいところではあるが、ちょっとあの辺り何がどう語られてたか記憶があやふやなので要円盤。ともかく配信で見えないところのそういう演出が本当に、やっぱり生で観るべきだった。何度でも言ってしまう。

ところで、何よりとにかく一番大興奮したのがエンディング!!!

主題歌メドレーはズルい!!!!!!

本っっっ当に鳥肌立った!!リピった!!リピれること、配信で見た自分に唯一感謝した!!もうねー、とにかく私は文劇初演の「光ノ先へ」が大好きなんですけど、何が好きって文豪由来の言葉が歌詞中にボコボコ出てくるところと、その歌詞に合わせたOP演出、走り出したくなるようなカッコイイメロディーライン、もう愛しさしかない。ガラッと変化した文劇2の「白き美しき世界へ」のメロディーは切なさ満点で、世界が光り輝いて見える。そしてさらに曲調を変えてきた文劇3の「魂となりて」は、THE文豪感溢れるレトロな雰囲気の中に、強い魂の意志が示されるようなそんなメロディー。愛しさと切なさと心強さとかよ。その作品のためだけに作られた主題歌って良いよね。

「光ノ先へ」が流れた瞬間の文劇そのものの終わりの感覚は悲しみでもあったが、それでもこれに勝る興奮は久しく感じていない。いや本当に素晴らしい。脱帽という他ない。むしろ禿げるかもしれない。久しぶりに禿げるとかいうネットスラング使ったけど、脱帽の上位互換だったのか。

ああ、ラストシーン、「光ノ先へ」じゃないか。

 

他の人の感想見てると本当に細かいところまで作り込まれてるのが分かるから、もっと観たいなあ。見返したいなあ。見続けたいなあ、文劇。

 

 

 

 

https://twitter.com/bunal_butai/status/1306124123483959297?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1307520459118792704?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1307937623944474625?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1308303021974020097?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1309117053740163072?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1309459803983376386?s=21

https://twitter.com/bunal_butai/status/1309738342368423936?s=21

文劇さんはこういう裏方のお話もしてくれるから愛しい。

 

 

 

 

 

 ★★★★

*1:今は多少マシになってるように思えるけど、夏前辺りが酷かった。自粛自粛でどれだけの芸術が消えたことか