『ミュージカル アルジャーノンに花束を』
2017/
3/2〜12 銀河劇場 東京
3/16 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
32歳になっても幼児なみの知能しかないパン屋の店員チャーリィ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話しが舞い込んだ。
大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、
連日検査を受ける事に。やがて、手術により、チャーリィは天才に変貌したが・・・
公式HP:http://www.algernon-musical.com
3/9 M列下手にて
矢田ちゃん初主演おめでとうございます。
2014年に舞台がやっていた時からずっと行きたいと思ってた。
この原作は人によって好き嫌い激しい印象あります。
私自身「天才」が描かれた話が好きなので好きですって感じです。「アルジャーノンに花束を」は他の話にはない天才の在り方なんですよね。
公演時間が3時間近く、大変腰がやられましたが、そんなダメージを受けつつも、短い3時間だったなぁと思います。
同じようなことを言っているようで、不思議と飽きが来ない。
曲もバリエーション豊かで面白かったです。
女性陣のハーモニーが綺麗だったなぁ。
3重奏の部分は歌詞が聞き取れず混乱することもあったけど、全員上手い人のハモりは気持ちいいです。
ウォレンの歌はしばらく耳に残る。
演出ではメイン以外の人が舞台道具の一つのような動きをしていた。
「人が物に見える」と言い方を変えると、知能が低いチャーリィが人間扱いされていなかったことと少しリンクするようにも思えます。
矢田ちゃんさんは生執事リコリス再演ぶり。
テニミュの頃から頭一つ抜けて歌上手かったけど、何曲も聴く機会はなかったので……
更に上手くなってて驚いた。声量増したらもっとヤバそう。
先に歌の話したけど、やはり一番の見どころは、知的障害から天才への演技変化。
幼児並の知能のチャーリィと誰よりも高い知能のチャーリィで、顔つき、声色、動き、全て違うんですが、この知能の発達に加えて精神年齢も絡んでくる。
チャーリィの複雑で不安定で繊細な人格が常に変化する様は素晴らしかったです。
皆本さんの歌声がとっても綺麗で好きだなぁと思ったのですが、後でググったら、2013年版冒険者たちで潮路役だった方で驚きました。役者さんの名前は覚えていられなかったけど潮路の歌声綺麗だったなぁという記憶がずっとあって。
この日はマイクトラブルで一部マイクなしの正真正銘の生歌になってしまったのですが、一瞬マイク入ってないと気付かないほど響いてました。
アルジャーノンでしっかりお名前覚えたので笑、また聴きたい歌声だなと思います。
アルジャーノン役の長澤さんは動きが人間ではなかった()
どんな筋肉持ってたらあんな美しく躍れるのでしょう。
あとお名前見ても姿見ても男性か女性か分からなかった。声聴いてギリギリ男性と気付いた。
和田泰右バートの髪型と声が好き。
2幕の「すごいダンサー」の彼から目が離せなかったですね色んな意味で。
考えさせられるというより、考えるところが多い話でした。
なぜかというと、考えるより先に感情が動くんです。特に後半。
なぜ自分がここで苦しくなっているのか、泣いているのか、理解できない。
台詞を耳にした途端、自分の過去の記憶や今持つ思考回路がずるりと引き出される。そしてその台詞が、引き出された自分にダイレクトに触れてくる感じ。理詰めで考えがちな私にとっては不思議な感覚でした。
何もかも捨ておいて感情のままに感じれば良い、とも思いますが、頑張って自主的に理解に努めることが必要になってくる。
そういう意味で、「考えるところが多い」です。
この舞台では「愚鈍であれば好かれ、利発であれば嫌われる」など、あらゆる事象が明暗まるごとひっくり返したような分かりやすい構造をしていました。
こんなにはっきりしていたかしら。もう少し「良い人」もいたような。
しかし舞台で観ることでチャーリィから見たギンピイ(パン屋の友人)と、ギンピイから見たパン屋の友人などという視点の違いも、視覚的に一目瞭然で、一層つらかった。
ラストの花束はとても美しかったです。
これからも上演されて、このSFがSFじゃなくなっても語り継がれますように。
★★★