芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

テニミュ3rd 全国立海 前編

 

『ミュージカルテニスの王子様 全国大会 青学vs立海 前編』

2019.

7.11-21  東京 TDCホール

7.26-8.12 大阪 メルパルクホール

8.17-18 愛知 豊田市民文化会館 大ホール

8.31-9.1 福岡 アルモニーサンク北九州ソレイユホール

9.7-9.8 宮城 多賀城市民会館 大ホール

9.19-29 凱旋 TDCホール

 

https://www.tennimu.com/3rd_2019rikkai_1/

 

 

※重めの立海オタクによる柳蓮二定点

 

 

7.11 2バル1列下手サブセン

7.14 3バル4列上手サブセン

7.19 3バル2列下手サブセン

7.20昼 2バル6列上手サブセン

7.21夜 2バル3列センター

8.11昼 1階3列上手

8.11夜 1階12列

8.18夜 1階の列下手寄り

9.19 アリーナ11列下手寄り

9.22夜 アリーナ14列センター上手

9.25 アリーナ7列下手寄り

9.27夜 アリーナ3列センター下手

9.28夜 アリーナ12列上手

9.29昼 2バル3列上手サブセン

9.29夜 アリーナ6列上手寄り

にて

 

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最初9公演だけのはずだったんですけど、チケットがひとりでに増殖してました。予定表に書き忘れてて、友人から「この日連番だよね?」と言われて初めてチケットあるの思い出すことが2回もあったの自分の中で前代未聞で笑う。抽選申し込みが「とりあえず行けるとこ全部」だったから完全に脳死してた。しかももうチケット持ってるの忘れてた日ですら「当日券並ぼ〜」と思って普通に予定空けてたっていう。

15公演。周りは普通に30オーバーとかいるから大したことないなと思うけど、同公演観劇数としては自己最高記録です。毎日テニミュが、観たかった。

 

 

覚醒の凱旋

正直に書く。

初日明け、東京が終わり、愛知楽(私が最後に観た地方公演)まで、絶望していた。絶対に立海が勝ってるのに、何故ストーリー通りに負けなければいけないのかと。

「三連覇に死角なし」の"実力が違う レベルに差がありすぎるようだ"の歌詞には「ほんまそれ」と思って涙が出たし、"それは諦めの境地か"には「もう(この感覚から脱することは)無理だと思っている私のことか?」と思って涙が出たし、"決められた結末だ そう変えられないラスト"は何度も何度も敗北のシナリオをなぞる立海のことを思って涙が出た。

東京まではまだ「今後青学も伸びるだろう」という期待はあった(実際、もう本公演3回目なのに…?という自分もいた)。とっくに公演期間を折り返した大阪楽でなお、「絶対立海が勝ってたのに」としか思えなかった時の悲しみは忘れられない。そして愛知楽でも「ああ、やっぱり」と思ってしまった。なにより、そう思ってしまった自分が嫌だった。

 

「どうして立海が負けるのか」

原作のストーリーに対して何度も何度も考えたことを、まさか、物理的に納得できずに苦しむ日が来るなんて想像にもしていなかった。「テニミュにおける強さ」とは、当然テニスの強さではない。テニスの強さを支える心·技·体を、目に見えるパフォーマンス(演技・歌・ダンス)に昇華して初めて強さになる。

立海贔屓いえど、当然大事な場面はちゃんと意識を向けるし、立海定点いえど、良いパフォーマンスには目を引かれる。懐古野郎で申し訳ないが、2ndはそこのバランスが良かったように思う。全員全パフォーマンスがハイレベルというわけではなかったが、しっかり拮抗してて、本当にどちらが勝ってもおかしくなかった。「もしかしたら今日は立海が勝つかもしれない」と思いながら観劇することができた。バランスという点では最早、3rd立海が強すぎたのかもしれない。でも関東大会でこの強さを持った立海が来てくれて、本当に本当に嬉しかった。客すら圧倒的な力でねじ伏せる立海が理想通りだった。だからどうしたって、青学に同等レベルへの底上げを願ってしまった。

上で「テニミュにおける強さ」はパフォーマンスと書いたが、テニミュにはもう一つテニミュ特有の要素「成長曲線」がある。パフォーマンスはそれなりに分かりやすいから、普通の舞台ではここで決まると思われる。テニミュも全体的なクオリティが上がってはいるものの、やはりまだまだ何かしらのパフォーマンスが素人のキャストがいるあたり、成長曲線に期待している部分があるのではないかと思う。キャストの成長も楽しむことはテニミュの個性だと思うし、約束されたロングランという稀有な性質を持ったテニミュだからこそできることだから、これからも「若手俳優の登竜門」であって良いと思う。ただし、タイミングを間違えなければ。

 

ってずーーーっと思い続けた公演だったんですけど。

凱旋で青学覚醒したじゃん。

まあ、いや、このタイミングでやっと?というのはある。安心した手前、もっと早く、なんなら最初から、このレベルが観られていたなら……と思ってしまう自分はいる。

他の人がどう思ったかは知らんけど、私は全体的に青学一気に伸びたな、と思った。何故ならどの試合も目で追うのは立海ばかりのこの私が、青学に目を奪われるようになったから。D2の乾海堂。いやここは元々良かったな。「良かった」が、「凄まじく良かった」になった。

もう具体的に言っちゃうけど、S2とか凱旋前まで本当に悲しみしかなかったんですよ。S2って、立海の……敗北……(言いたくない)の皮切りになる試合であって、青学には本当にギリギリを打ち破ってもらわないと立海厨としては戸惑いでしかない。でも一舞不二くん、凱旋以降公演を観に行くたびに良くなってて、これには驚いた。正直この期間に伸ばせる実力のてっぺんがもう見えてると思っていたから。ある意味、この「余裕すぎない」「ギリギリ感」は間違っていなかったのかもしれない。(しかし「イリュージョン」はあまりにも最強の一言。二幕はイリュージョンのために金払ってるなとすら思った。)

とにかく悲しみの感情を抱いたまま全立前編不完全燃焼で終わることを覚悟してたから、本当に伸びて良かったなと思う。立海贔屓の上から目線でごめんね。2ndほど拮抗しているとは(構成的にも)どうしても思えなかったけど、良かった、本当に。

 

 

 

解釈抉るD2 主に柳蓮二考

井澤柳さんは目の開閉をも演技表現に取り入れてきた。

悪魔化前に幸村とアイコンタクトする柳さん。誰よりも早く幸村と真田の動きに気付いている柳さん。人の試合でも真っ先に試合の変化や違和感に気付いている柳さん。赤也に厳しくて甘い柳さん。

ああ好き。

 

試合中の柳蓮二

井澤巧麻さんの何がすごいって、試合中も目を閉じる。たまに客席と反対側の目を微かに開いて位置確認しているので、世にも貴重なウィンク柳さんが主に上手席だとよく拝見できたんですよね。なので私は上手が大好きだった(動機不純) 。位置確認とかそういうとこ本来見られたくないのは分かってるんだけど、そこまでして目閉じてくれる努力にわたしは感謝の気持ち爆発です。

空蝉のモーションが美しいのは明々白々だが、ライティングまで美しいのがやなれんスタイル。ステージから客席にむかい拡散する、2重のフレーム型ライトがそれはそれは美しくて、慣れてきた頃にはここだけいつもオペラ外していた。これ、映像には上手く残らないんだろうなぁ……客席の壁を伝うんですよ空蝉が…柳さんの技で客席ないし世界が包まれるんですよ……手の中に"世界を包む"道二つ交差する……。

試合の途中で柳さんが赤也をおいでおいでして呼ぶの可愛すぎて、映像入ってくれなきゃ泣く。(入った)

 

雑魚

立海D2曲復活に大歓喜。それはもう初見時は心臓の鼓動で肺が潰されて声出るかと思った。この一曲だけで6000円の価値をゆうに超えた。マジで。本当にド贔屓なんですけどどれだけ不満あっても、でも結論D2良かったよねで終われるし、本当に私の全立前編のピークがここだった。まあ2ndもD2がピークだったんですけど。

ぶっちゃけ、この曲が誰よりも上手いと思っているし(贔屓)「歯ごたえがなさすぎるんだよ」のハモリは世界一上手いと思ってるんですけど(贔屓)、普通に井澤さん前田さん全部安定して上手すぎて逆に毎度心が穏やかでなかった。なんというかときめきが凄い。井澤さんは前よりミュージカル発声寄りになったのか声量が増してて、前田赤也とのバランスかちょうど良くなってた。

イントロ終わりに赤也が柳さんの腰をラケットで突っつくとこ、柳さん完全に後ろ向いててあまり首も振らないからまー表情が見えない。あの顔見るためだけに下手見切れ入りたかった。

歌詞に関してはまるで噛み合わない歌詞を交互に自分の好きなように歌ってて最高。でも1stでは最後も「歯ごたえがなさすぎるぜ(な)」と最後まで合わせなかったのに、3rdは語尾揃えてきてそこだけ合うのも最高。ただし私はここ1stと同じ歌詞だと思っててoの子音は歌い方で調整してるのだと公演期間中思っていた(歌詞カードで知った)。赤也のお魚攻めが加速してるのは笑ったし、出世魚なんて言葉よく知ってるね…学校で習ったのかな…????あと柳さんの「おデータ」ね。最初想像つかなさすぎてなんて言ってるんだ??と思ってたけどやっぱり何度聴いてもおデータだったね……煽り力高すぎる柳蓮二……。「そう 最新のデータは」が段々スタッカートというか「そう!」ってはっきり区切る歌い方になっていったのが好き。

振り付け的には、柳さんの頭の横でグーッパッてするやつ好き。何回かやるよね。「上書きするの遅すぎだぜ」の後、赤也がネット飛び越える時の柳さんのモーションが地味に日替わりで笑った。マリオジャンプ・指差し首振りバッテン・靴紐結びのパターンは確認してるんだけどマリオが一番多かったかな。バッテンが可愛くて一番好きだった。「ベラベラの攻撃だな」*1のところも時々変わってたし、そもそも歌い方もちょっとセリフ調になるパターンがあったりして楽しかった。

 

デビル

ここは赤也について。前田さんは正直、全立の中で一番「ミュージカルが」上手いと思っている。これは本当に感情と歌のミックスと配分が上手い。「ギッタギタに叩き切ってやる」のギッタギタぶりが徐々に上がっていったのは客周知の事実である。てか普通に歌上手すぎか?聴きごたえ最高。

真っ赤なライトに青い光が入るライティング、オペラで見ると青がちらちらゆらゆら揺れて炎みたいだったんだよね。この視覚的感覚は円盤じゃ分からないから寂しい。

そして柳さんについて。柳蓮二についてはとにかく、「罪悪感」の解釈が天才的。D2で悪魔化以降柳蓮二の心理描写がほぼ無いなか、今まで「罪悪感」の解釈を入れてきた柳蓮二っていたのかな……私1st生で観てないからな……。

デビル最後にジャージのエンブレム握るところ、柳蓮二の大サビだと思ってるしあれは大天才(なのに一番後ろでやってるの本当に勿体ない、全観客見て)。

 

海堂悪魔化時の柳蓮二反応変遷

  1. 赤也を止めようと足を赤也側に踏み出す(〜東京)
  2. 赤也を見、乾・海堂を見、どちらからも顔を逸らす(大阪〜凱旋)
  3. 赤也乾海堂を見た後にすぐサーブモーションに入る(凱旋楽日マチソワのみ)

これなに!?!?!!!楽日だけガラッと演技変えてくるとかある!!???全部解釈全然違くなるんですけど!!!???これだからテニミュ回数重ねるのやめらんないな!!!!

上でも書いたけどD2の赤也悪魔化後って、原作では柳蓮二の描写が皆無と言っていいほどないんですよね。だから歴代も独自解釈をぶつけてきたと思うんだけど、3rd解釈は一言で言うなら、パターン1は優しさ、パターン2は諦め、パターン3は焦り、かしら。

パターン1はある意味、柳蓮二がその行動をとった瞬間に負けてたと思う。あれは赤也(だと思いたいけど乾の可能性もある)を想う優しさだけど、それは乾・海堂と同じやり方なわけで、もう遅いよ、という。でも柳蓮二のオタクはちょろいのでその優しさに惚れ直しました。

一方パターン2は柳蓮二の"弱さ"を全面に出してきた。あ、逃げたな、と。乾が倒れた時は乾側に一歩踏み出していて、乾が続行不可能なのはまだ分かっていなかったか、確率はイーブンだったのかもしれない。ただ踏み出すモーションは全パターンやっていたから、頭では分かっていても単純にショックだったのかもしれない。総合的に心情が分かりやすかったし、一番幼く、中学生らしいいうか。まあ柳蓮二のオタクはちょろいのでそういうとても弱い一面にもズブりました。

パターン3はエグすぎる。まさか最後の最後で、こんなえぐい解釈ぶつけてくるとかある?重度オタクでもその領域まで辿り着けなかったな。これを凱旋前楽で観た時の私の心臓抉られぶりは一生忘れないよ。海堂すら悪魔化しても構わないからとにかく試合を続けて勝ちに行こうとした非情のテニス、あるいはこの試合を早く終わらせたいという心の現れか。私は前者の印象を強く抱いたのだけれど、観る側の解釈分かれるなと思う。

立海の勝利への執着度は段階的に上がってるんだけど、いずれにせよ赤也への優しさは消えたよね。泣いた。でも好き。

 

正直井澤巧麻さん一生柳蓮二でいてほしい。

 

 

 

 

ヒアウィゴ先輩伝説

説明しよう。ヒアウィゴ先輩とは、テニミュ3rd全国立海前編二幕明けの「昨年の全国大会立海vs四天宝寺の回想シーン」で突如現れた、当時立海大附属中学3年レギュラー選手である。

本来、「当時2年の石田銀の対戦相手」という設定しか持たない日替わりキャラクターであり、東京公演等ではまだキャラが定まっていなかった。しかし「ヒアウィゴ〜☆」という流れるような入場からの「立海二連覇に死角ナッスィ〜ン☆」という厳格な立海にあるまじき緩さ、「美しきこと、ハイビスカスの如し☆」など数々のハピネスショットをくり出す自然派陽キャ設定が観客に大ウケ。いつしか登場の度に毎回拍手と歓声が巻き起こるほどの人気を確立した。*2 

千秋楽日、先輩との別れが惜しまれつつある中、前楽のカテコにヒアウィゴ先輩が舞台上に現れる事件が発生。偶発的に生まれたテニミュオリジナルキャラクターが原作キャラクターと同列に存在するという前代未聞の出来事であった。許した運営も運営である。そんな先輩の華麗なる勇姿はGMKKの曲中の全景映像で確認できるはずだ。なおヒアウィゴ先輩の中の人は、客降りパターン的には大楽が3バル降りだったので、前楽という、全景映像に残りつつ全景ゆえ主張しすぎないこのタイミングを選んだ計画性には感嘆せざるをえない。

名称に関しては、凱旋の頃にはオサムちゃんが「まー"ヒアウィゴ先輩"のせいで負けや」と発言するほど、恐らくテニミュ公式間でも周知の呼び方となったが、SNSでは「ヒャウィゴ」や「ヒァウィゴー」など多数の表記揺れが散見された。それを見兼ねてかどうかは定かではないが、遂に大千秋楽にて「冷上剛」という名前が明かされることとなる。

全立未見の方は、ここまで読んで「テニミュオリジナルがそこまで原作介入するのどうなん?」と怪訝に思うかもしれない。銀さんの過去捏造どうなん?と思うかもしれない。だが、これらはすべて渡邊オサムのごちゃごちゃな記憶なのである。同期である毛利寿三郎の要素も混在している可能性微レ存な儚いイマジナリー先輩について、深く考えてはいけない。

何より、これほどまでにオリキャラに自我を持つことを許されたのは、中の人、ジャッカル桑原役 川﨑優作氏のセンス、スキル、そして人柄の賜物である。地獄の全立に癒しをありがとう……ヒアウィゴ先輩は伝説となったのだ……。*3

 

 

 

その他雑多

・上手前方入った時、「TOP OF THE TOP」でちょうど白石金ちゃんが直線距離に来て白石くんの手招きを直で食らってヒュンてなった

・一番好きなライティングは空蝉だけど、次点海堂のレーザービーム

・「ピンチ」のダンスすごい好き

・D2前の謙也一氏の日替わりの後ろの立海ベンチ、赤也が三強段差に座ろうとする日替わりしてて目が離せなかった

・D2の「ターンディフェンス♪」、柳生が振付番号付けてて毎回赤也と客席に向かって「今日は〇番です!」ってやってたんだけど、凱旋ラストスパートでカウントダウンしだしたのは泣いた

・桃ちゃん本当にカッコよくて大好きなんだけど「時間稼ぎ」だけは許せない

・「ウチらのハートはパーカッション」は好きだけど、曲入れるタイミングが謎すぎ

・アンコールでもうGMKKやっちゃうんだ…という気持ちは無きにしも非ず

 

 

 

 

色んな感情綯い交ぜでぐちゃぐちゃになった公演だったけど、立海D2オタクの友人と毎公演終わりにご飯行っては酒を飲み*4頭を抱えたりしたけど、まあ結局D2で元取れてるしなぁという感じです。あー楽しかった。

後編、観たくないなあ(観る)

 

 

 

 

 

 

★★★★

*1:ここもペラペラだと思ってたらお魚縛りだった

*2:凱旋終盤でも厨二病設定などマイナーチェンジは存在したが、ヒアウィゴの口癖とベースのノリは同じである

*3:全公演に渡りワンレン、おさげ、アフロなど様々なウィッグを被り冷上先輩との掛け合いをこなして出家した石田銀役 森一平氏にも本当に拍手

*4:赤也誕公演後に、焼肉屋で全立海レギュラーの好物を頼んだのが楽しかった思い出。テールスープは無かった。