芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

ヘタミュNW

『ミュージカル ヘタリア ~in the new world~』

2017/

7/15-17     大阪NHKホール

7/21-8/2   東京 シアター1010

 

永き戦いの終わりによって別々の道を歩みだし、
それぞれの地で再起を目指すドイツと日本。
そして、いつもと変わらない元気なイタリア。

しかし、三人の心は以前と違ってすれ違うばかり…。
そんな中、“ある日記”の存在が、
バラバラになったその心を再び向かい合わせようとする。
それは、かつて列強と戦い続けた男の日記だった…。

公式HP:http://musical-hetalia.com/nw/

 


7/15     8列上手

7/16昼 9列センター

7/21     2F1列上手

7/22夜 2F1列センター

7/29昼 12列下手

7/30昼 18列上手寄り

7/30夜 7列下手

8/2昼   20列下手

8/2夜   ディレイライブビューイング

にて

 

 


ヘタミュというコンテンツが大好きすぎて、まとまらなくて、感想書き切るのに随分経ってしまった。しかしいまだに冷静ではないし、思い出す度に荒ぶるのだと思う。

投稿日は時系列順にするために詐称してます。9回見たのにまだ分からなかったり流れが掴めなくて。本公演見ながらちょくちょく書き溜めてたけど、円盤見て気づいたことも多々ある。そう、つまりこれは円盤発売後に投稿している。

 

 

 

感想

私の中で、伝説の舞台になった。


2017年、最も熱をあげた舞台。*1そしてこれを超えられるものは今後現れるのだろうかと思うほどに。大好きで、大好きだった。


数え切れない程の愛が存在した舞台だったと思う。この感覚は、言葉では表せないんだよなぁ。リアルタイムSNSや劇場で感じるしかないあたり、舞台とは、劇場の外であっても生ものだと痛感する。

そういえば開演の暗転で拍手が起きる舞台ってなかなかないよね。あれいつから発生したのかな……。

大阪での初日スタオベ、気持ち良かったなぁ。あんなに早く立ちたいと思ったのは初めてだ。大楽前の最後の土日である7/29,30は観劇ラストの人が多かったのか、もうスタオベが起きていて感動した。29の夜は体調悪すぎて現地でチケット譲ってしまったから分からないのだけど、29夜とか平日の7/31,8/1はどうだったんだろう。

 

初日カテコで、長江座長が「僕達はこのNWをもって、ヘタミュを卒業します」という発表があった。

そう言われた直後の水を打ったような…というより、もはや時が止まったかのような、劇場の静けさは忘れられない。普通ざわめくよね。人間って本当にショックだと言葉が出なくなるらしい。

キービジュアル公開時、そのあまりの卒業感に「ヘタミュ終わるの?」と頭によぎらなかったわけではない。本当に「卒業します」宣言された瞬間、本当に終わらせてしまうのかという絶望はなく、ただ、脳が考えるのをやめていた。次の言葉までの空白はとても長く感じた(2018.1.18 追記 ここに関してNWドキュメンタリーから察するに、やっぱりキャストは「えー!」「ヤダー!」という声が上がることを予想していたと思われるが、オタクにそんな余裕はなかった)

でも「終わり」を宣言してくれたことは、優しいなぁと思う。ストーリー的に続きがあるのが確定しているわけでもないのにね。「これで最後」と言ってくれる舞台はかなり珍しい。

おかげで残りの時間、全力でヘタミュを楽しもうと思えた。悔いなくお金を使うことにした。おかげで上限決めていたはずの物販で、あれよあれよとランダム系が揃っていった。マジでお金使うの楽しくて驚いた。

 

 

まず大阪初日、開幕で暗転した瞬間に泣いた(笑うところ)

幕が上がってWWⅡの文字が見えた瞬間にも泣いた。開始5分で泣いたというジェーさんのことをなんら笑えない。

涙腺スイッチが入るのは、

・OPのブルズソロダン

・『三つの独立』で国旗と年号を見た瞬間

・EDで桜が展開された時

この3つは毎公演、絶対に泣いてた。我ながらよく泣き飽きなかったものだと思う。

 

こんなに世界平和を願わずにいられなくなる舞台があっただろうか。

NWないしヘタミュで伝えたいことは全ては『神様のしずく』に詰まっているように思う。ヘタリアという作品の性質上、戦争は喧嘩、などゆるめの表現が多い。実際SWではWWⅠすら、普通ではありえないほどポップな演出だった。

でもNWでは「焼け野原」という、かなり現実的でシビアな演出をしてきた。これにはかなりキたし、驚いた。あんなにゆるふわだったのに。

でもだからこそ、喧嘩したり悲しんだりした後は、花が咲く平和な世界でみんなで笑おうというメッセージが強く光る。*2

 
今回は「成長」が公式テーマらしい。ストーリーは「枢軸三国の関係性の崩壊とこれからについて」と「普を経た独の成り立ちについて(おれさま日記)」の二本軸かな。

基本、"桜を一緒に見る"という「枢軸の約束」の話で軸が通っていたので、流れは比較的分かりやすかったように思う。しかしやはり一回観るだけでは分からない、とも思う。

シーンが現在(WWⅡ直後)と過去(16世紀〜)を行き来するのよね。しかもその過去が、伊の夢の中の話だったり、おれさま日記の中の話だったりするし。ワンシーンが長いから前に何してたか忘れる。「独に足手まといだって言われたんだ」と言う伊に日が「それは私も聞いておりましたよ」って言うとこ、普通に私まで忘れてて「そうだっけ?」ってなった。

良く言えば伏線が多く、何回観ても新しい発見がある。さらに言うと、情報量が多すぎて頭パンクする。

過去を振り返り未来の希望を願う展開は、実に最終回らしくてとても良かった。過去作の要素がたくさん盛り込まれていた。おれさま日記や、伊を背負って走る最中の独の回想シーンで、SW、GWのシーンをリフレインするのは鳥肌だった。*3

また『星に願いを』の台詞はSWでも出てきていたりと、色々とNWで吸収されて、着地している。全て過去があって今がある。

SWでは独が「伊、お前は俺の傍にいればいい」と言っていたのが、NWでは伊が「独が傍にいてくれて良かった」と言う、アンサー構図になるのも美しかった。伊が「それだけ。俺にはそれくらいしかよくわかんない」と言うように、言ってることは本当にシンプルで、だから万人に響くんだと思う。

 

演出も相変わらず盛り沢山。

舞台セットは、ページがめくれる巨大な本!OPの最中、本が開かれてタイトルが表れるだけなのに、妙に涙腺にくるの何故でしょうか。

ページで場面転換するだけでなく、最後は飛び出す絵本になる。おれさま日記ページは右下に神羅の抜け穴があったけど、最終ページじゃないのにどうやって穴開けてたんだろう?前のセットも小さな本として開けるようになってたり床が開くようになってたり、細かいギミックがたくさんあって、やっぱりおもちゃ箱みたいだった。

『東西冷戦』の最後、立ち位置が世界地図構図になる演出に鳥肌立つ。あの曲自体、米と露のダンスバトルで大好き。仏と英が喋ってるところのダンスがものすごくかっこいいからあそこせめて全景でもいいから米と露を映してほしい。

原作で言う夜明けのカオスとか無駄にドレスとか小道具とか充実してて笑った。「登場人物になりきったつもりで読むがいい」にしてもマリアテレジアがりゅこさんだしフリッツはおっきーだし、一人多役でマジカオス。ベートーベンさんの「あきた降ってきた運命ですハイ」のとこ、最初日替わりだったけど、運命降ってきたネタが百発百中だったから途中から固定ネタになってた。

米と露にギャグとしてひっぱり合いされた直後に「それはダメだよ!…身体、引き裂かれちゃうよ…」と突然シリアスになるの本当温度差。

おれさま日記は全体的に神演出だった。伊が独に渡す前に色んな人に日記を見せていたのに掛けて、『胸をはって』で日記を回し読みしていくのとかすごく良い。泣いた。

瀕死の伊を運んで花見をしようという独に「この辺りも見頃のはずです……。本当なら」「……ただの、焼け野原じゃないか!!」のシーンは抉られた。戦争はダメだと強く思わせられる。

ワンシーンずつあそこが良いここが好きとか書きたいところだが、死ぬほど冗長になるからやめます。ヘタミュって感想書くの難しい。

 

それにしても、何回観ても飽きなかった。2時間40分で休憩無しという、近年まれに見ぬシッティング尻爆発地獄だったのに、そこまでつらくなかった。何でこんなに集中できるのか考えたんですけど、ヘタミュNWってほぼ暗転0なんですよね。舞台上に誰もいなくなるときが無い。休憩無しも集中切らさないためだろうし。

本当に本当に毎公演楽しかった。

 

 

大楽でのヘタミュライブ発表。正直本公演含めたこの瞬間、一番泣いた。

というか生まれて初めて嬉し泣きをした(爆笑)

長江くんが「これで涙は止まったかい!?」って言ってたけど、今が一番泣いてます座長。公演中、幾度となく「最後は笑顔で」と言っていたキャストたちでしたが、絶対に寂しくて笑顔で終わるのは無理だと思ってた。まさか、本当に笑顔で終わらせてくれるなんて。ヘタミュが好きで良かった。愛やら金やら、出した分だけ返ってくることを実感する。

 

私、GWの感想でこんなことを書いていました。

今回も曲が全部キャッチーでとても良い。本気でCD出してほしい。そんでいずれヘタミュライブをやってほしい。ミュージックフェスタとかなんかそんな名目で。

…………………願ったことが叶う世界!!!!

この勢いで3作全部のBlu-rayとCD出してくれないかなぁ〜~~アンケートに毎回書いたBlu-rayとCD、出して…くれないかなぁ~~~??

(2017.12.22 追記 出たわ。CD。嘘じゃん。CD出た。しかも3作品全部が全曲。ハイライトでもいいからと思ってた。信じられない。これBlu-ray出るでしょ。)

 

 

 

 キャラと役者別

人毎に長さ違うのはご了承ください。

それぞれキャラ名と役者名掛けた呼称が定着してて良かった。りょきたりあ(伊)、うえイツ(独)、うえぽん(日)、ひろせりす(英)、りゅこめり(米)、じゅりんす(仏)、おきろし(露)、杉江にーに(中)、ROUストリア/ROUデリヒ(墺)、じぇーぶん(西)、学イセン/学プ(普)。よく聞く聞かない含めてこんなところか?

 

伊/長江崚行

本当にすごい子だ。長江くん。誰よりもしっかりしてる、凄い座長だった。

あんなに素がしっかりしているのに(周りの大人が自由すぎるせいもあるかもしれないけど)、どうしてあんなに「ヘタリアの伊」になれるんだろうといつも思う。長江くんのおかげで完全に伊が好きになった。3次元で動くとこんなに可愛い生き物なんだって見せつけられた。そして可愛い可愛いちびたりあも出来るというポテンシャル。

しかも未成年で酔っ払いの演技をする。末恐ろしい。酔っ払って階段落ちたと思ったらスライムみたいに階段上がってく動作が好きだった。

SWに比べて、表情も言葉も柔らかくなった気がして、元から上手かったけどさらに成長した感じがする。何より、自分なりの伊が確立されていた。

ところで、長江くんの声と歌の訴求力が、とにかく凄まじい。声質も良いよね。特徴的だし。OP『約束の木の下で』のソロパート「日記にこめた想いを」を聞くと、心がぶわっと動き出す。

『何を贈ろう』直前の仏とのアドリブも上手かった。とはいえ、ぶっつけ多すぎてみんなガチな素が出てきがちなヘタミュのアドリブにおいては長江くんも例外ではないのが良いです。

これからもっともっと成長するであろう役者さんなので、その先の伊も見たかったなぁ。 

 

独/上田悠介

枢軸とおれさま日記、両方にいるので芋領は大変嬉しかったです。

日に「出てけ」とキレる独は解釈違いかなと思ったんだけど、SWでの独は大変な時期はなかなかに怒りんぼなので、ヘタミュ通してのキャラ解釈かなと思う。*4  独帝国再建のお誘いのくだりもなぁ。独推しだから余計に自分の中の固定解釈が強い。

GWでも書いたかもしれないけど、やっぱり冷静な独がどえらいカッコよくて好き。伊の夢のシーンでの、「今度の戦は恐らく長くなる」という神羅からの独への切り替え台詞が好きすぎた。WWⅡの負けを直感しつつも「最後まで屈するつもりはない」という独も好きだった。先を見る力がある辺りはやっぱり普と似ていると思わされる。

それにしても初日の神羅の出オチぶり。完全に独じゃないけどマリーも……よくやったよね!上田さんはあと伝書鳩とじゃがいもやったのかな。じゃがいもってなに。
芋兄弟大変良かった。何となく顔も兄弟のように見えてくる。体格差も良……っていうかほんとに独むきむき……。 


日/植田圭輔

超多忙の植田圭輔様、どう見ても誰よりも圧倒的に稽古期間が少ない中、誰がこんなに出番多いと予想しただろうか。先に発表されたロゴに桜が入ってる時点でお察しはしたけど、いやいやまさかという気持ちもあり。

結果、一番始めの台詞を担当し、がっつり根幹に関わり、ソロまで歌い、ラストの締めの台詞も担当するという。しかも噛まないミスしない。それでいて全力。何者なんですかね植田さんは。

そういえば最初の方、普のこと「普さん」って呼び方してたけど「普くん」に直されたよね。アンケート、ちゃんと見てるんだなって思った。日開国の頃、普の憲法を参考にしているからある程度知っていてもおかしくないはずなんだけど「自分のことが大好きな方だったんですね、普くんて」って全然パーソナリティ知らない人みたいになってるのはまーーー仕方ないのかな。普に対して「俺様はすごい、そう自分に言い聞かせていたのかもしれませんね」って評するのも解釈分かれるなぁと思った。

「ですが、肝心の桜はもう…」の辺り、涙を湛えたお顔が美しい。日さんって私の記憶の限り、泣いても顔を歪めないんだよね。

  

英/廣瀬大介

GWで出番多かった分今回は出番控えめだけど、輝いてた。『開国慕情』専用ジャケットと共に。あとウィッグすごい変わったよね。SWでは良い意味でのボサボサ感(金色毛虫ではない)があったけどすごく馴染んだ。

アドリブの恐怖政治みたいなところがキャラなのか素なのか割と分からない。大英帝国様って感じで刺さる人はぶっ刺さると思う。私も好き。

「お、ここ昔、桜の名所だった場所じゃないか?」って焼け野原の日に言うの、敵国的にめちゃくちゃエグくないかって毎回思う。

 

米/磯貝龍虎

私初演からずっとりゅこめりがイメージドンピシャでいつも感動してしまうんだけど、今回もすごかった。フリーダムなんだけど、空気の読めるフリーダムなんだよな。一人でも複数人でも、アドリブ回しが最強すぎる。

『ホームパーティーをやろう』なんて伝説でしょう。大楽だけ、ブルズと歌うラップを入れるなんて。あんなに明るい曲で嗚咽出るほど号泣するとは思わなかった。あれ?ライブ発表時に生まれて初めて嬉し泣きしたって書いたけど、もしかしてここが初めてかもしれん。この追加要素がりゅこさんの発案で、それを許して追加分の音作ってGOサイン出してくれるのがヘタミュ。まず案が出るのが信じられないし、公演期間中に音楽作ってくれるのも信じられない。

https://ameblo.jp/rk3939/entry-12298647161.html

https://twitter.com/koutaroyositani/status/893525342568071168?s=20

 

仏/寿里

もう"じゅりんす"という存在。GWの時撮られたものだと思うけど、北千住の窓に張り付いてる写真が大好き。

https://twitter.com/jurigig/status/884414550069596163?s=21

『わざわざ歌にするほどでもない歌』の直前で、キャストの尻を揉む流れが出来上がってて、日々制覇されていくことで尻ンプラリーとか言われてたの面白すぎた。(円盤での「私はちゃんと制しました!」はそういうこと)

大楽だけまるかいての時、後ろ髪を赤いリボンで結ぶのズルいよね。時々仏語使うのズルいよね。

 

露/山沖勇輝

こちらもおきろしというジャンル。

可愛さと恐怖を兼ね備えているのに、アドリブでの独特の滑り方、弄られぶり。このギャップのバランスはおっきーさんにしか出来ん。まあギャグ要員としての露は、地味に露領の人どう思ってるんだろうとヒヤヒヤするところではある。(キャラ崩壊的な意味では色んな人に言えるけど)

相変わらずダンスが物凄くかっこいい。衣装のコートとマフラーがひらめくのがまたかっこいい。特に冷戦のダンスバトルはヤバい(2回目)

桜の苗木のシーン、ここも敵国的にエグくない?って思う。箱だったけど。

 

中/杉江大志

SWであんなに可哀想なにーにだったのに、だんだん包容力溢れるにーにに……。倒れた伊を抱えるにーにがすごくお兄ちゃんだった。

伊の夢の話を聞いた時の「日の成長速度は、びっくりするあるから」という台詞が少し切ない。

出番少ないけど「ちゃらら〜らら ちゃらららら↓ら゛↑〜!!!!」(日替わり)とか面白かった。そういえば声も落ち着いたよね。こちらも自分なりの中が確立されたなぁという感じ。昔から何度もアニメやってる作品の初演は大変だったよねぇ。

 

墺/ROU

ROUストリアさん、マジROUストリアさん。怒ってもお上品です。何気に183cmもあるのですごく手足が長くてかっこいい。

"ミュージカル"の屋台骨である。『東西冷戦』の「その冷ややかなる争いで」ハイトーンは毎回楽しみにしていた。

久しぶりの舞台で、舞台の上手下手の左右を忘れていたことがきっかけで「私はプリプリしながら下手へ捌けます」とかの台詞が生まれたそうで。そんなことある?

 

普/高本学

ヘタミュはとんでもない逸材を見つけてしまった。

私、原作普領なんですよね。だから最初「わたし普のジャッジ厳しいから」「この世にプーちゃんできる人存在しないでしょ」と思っていた。

そしたらマジでヘタミュに普が出ることになった。その時はキャストの名前だけ出た。私は普通に取り乱したが、なおイキリながら、高本学さんという人をググッた。

 

すっっっ……すっごい顔が良いね…………

この時点で若干、私の自称強めジャッジは崩れていた。しかし俳優とて中身も重要である。俺様キャラをやるといえど、本人も俺様であって良いとは思わない。またアニメを見ている私にとって、プーちゃんはザラザラやすりボイスイメージだ。声も何だかんだ大事である。*5  稽古場配信があるというので見る。

 

右端にちょこんと座る、可愛い子は何……?

高本学くんという人、大変控えめな子だったのである。好感度爆上がり。ただでさえ出来上がったカンパニーにポイと入れられたとはいえ、喋らない。人見知りか。だが可愛い。すごく可愛い。あと声もなんかザラザラしている。有望株か。この時点で勝ったも同然だった(偉そう)

で、ビジュアル発表。

 

アッ……………プーちゃん存在した……………………

 

見事な手のひら返しである。ビジュアルの破壊力で8割の普領は陥落したのではないかと思う。だが高本プーは、顔だけではなかった。

初日の衝撃。本当にケセセセしてた。完璧な普がそこにいた。高本さん、演技ができる人だった。兄さんとしての普にめちゃくちゃ泣いた。

 

もうこれだけで十分だと言いたいのだが、高本プーちゃんないし高本学さんの魅力はそれだけに留まらない。

アドリブ力が壊滅的だったのである。アドリブ振られるとすぐ「高本学」が出てくる。だがそれが愛しい。ひねり出したネタも、宇宙から受信したのか?と思う意味不明さである。だがそれが愛しい。

ついでに言うと、ぶっちゃけお歌もダンスもあんまり上手くはない。「不器用」という表現がしっくりくる。でも頑張ってるのは分かる。

この辺りの「普憫」さ。そして決して完璧ではない不器用さが、表ではドヤ散らかしながらも影で努力する普を彷彿とさせられる。普領は、舞台上では完璧な普を求めながらも、ちょいちょい出てくる「高本さん」までもが大好きになってしまっていた。

私疑問なんですけど、あの最強の顔面と180cmのスタイルを手にしておいて、どうしてあんな謙虚な性格のまま育てたんですか?私なら「まあ俺イケメンだから許されるな」くらいには思えるね。あの顔であの性格は、奇跡の存在だと思っている。

 

そんなこんなで愛されプーちゃんが爆誕したわけですが、シリアスシーンはキメにキメるし、出てくるだけで死ぬほどかっこいい。動くともっとかっこいい。表情もくるくる変わって可愛い。喋ってもかっこいい。小鳥のようにかっこいい。

先見の明がある普が好きすぎて、そういう台詞出るたびに深呼吸してしまいそうになる。あんな俺様が、独を守るために「今までの失敗談も記録」するとかそんなかっこいいことある?

あと地味に目の色がただの赤とかじゃなくてちゃんと赤紫なのポイントめちゃ高。

 

ブルズ

月並みな言い方しかできないのだが、ヘタミュはアンサンブルもといブルズさんもみんな本当に素晴らしい。良い顔してるんだよね。何度観劇しても飽きない理由は確実に、ブルズさんたちの見所も満載だから。ブルズさん見たいから本気で全景欲しいんだよなぁ。

『約束の木の下で』でブルズさんだけが舞台上にいる32カウントがあって、そこのダンスが無茶苦茶かっこよくて大好き。ブルズさんに注目できる機会をつくってくれてありがとう。

『由緒正しきオーストリアと〜』の「描きたいことたくさん」のところでブルズさんたちがスケッチしてるモデルのポージングが日替わりだったり、マリーの側近の侍女ブルズたちみんな口紅塗ってたりして、本当に細かい。

神羅の山田諒さん、ちびたりあと山内涼平さんはもう役名として当ててもいいくらい出番あった。

 

 

曲について

(CD発売後に曲名書き直してます)

 

『約束の木の下で』、大好きです。OPは視界がずーっとチカチカキラキラしていた。

ヘタミュ、もう最後なんですよ。それで、初っ端から「ほら 顔上げて」なんて歌われたら耐えられるはずがない。

独ソロの「残してくれたあいつの言葉がジャンプ台になってくれる」は、作品世界(普)と現実世界(近江さん)のダブルミーニングだってのは、初演から見てる人みんな思ったと思う。秀逸すぎる歌詞。

 

カーテンコールで『約束の木の下で』のインストが流れる時、Bメロでピアノが星みたいにキラキラしてる部分でものすごくスタオベしたくなるんだよね。立つとこ、ここだー!と言われているような。

 

『ホームパーティーをやろう』は途中でこんな投稿が。

https://twitter.com/musical_hetalia/status/888378329803268096?s=21

公式から言ってくれて良かった!!ブルズの客降りあるしどう考えても歌うこと促されてるなって感じだったんだけど、ほら、私も日本人なので………。

 

枢軸の『三つの独立』は、OP除いたらヘタミュ全曲中一番好きかもしれない。ピアノの旋律があまりにも美しい。日→伊→独と、それぞれの新たな一歩を紡ぐ構成も美しい。日の銃声にどうしようもなく胸が締め付けられるのは何故だろう。

 

『神様のしずく』は名曲だし歌詞が大好き。「花も枯らせる時代に生まれたけど 満開の花の方が何倍も美しい」の言葉にいつも涙腺がやられる。世界を平和にしなきゃ…。「またいつか会おうよ」は、私たちにも向けられた言葉だと信じて疑わない。

『約束の木の下で』と『神様のしずく』は、どうしようもなくキャストに重なり、私たちに寄り添う。

 

 

 

考察


「成長」

テーマの成長について。

まず主人公 伊の思考変遷。上記の通りシーンの時系列が行き来するので、生での観劇中は、現在(WWⅡ直後)の伊が過去のことを思い出して考えが変わっていく様子が掴み切れず、本当に「成長」なのか疑問だった。

現在の伊の台詞を抜粋すると、心境変化はざっくり三段階あるように見える。

  • 「俺のせいじゃないって言ってよ」
  • 「負けたのは運命なんかじゃない!…それは、ただの俺のせいだよ」
  • 「あの時ああすれば良かったのかなとか、もっとこうできたんじゃないかなって…。でも、それはもう終わったことだしね」

確かに、成長している。なんだろう、この大人になった感じ。
序盤の『約束の木の下で』直前の中と普の台詞、

「世の中には忘れて良いことと悪いことがあるある」「思い出させてやるよ、俺様たちが」「大切な教えを」

に対する回答が「成長」であるとすれば、伊の成長とは「不都合を受け止め、次に進むための糧とする」ことなのかな。「寝るとすぐ忘れるタイプ」の伊は、前半だけで3回くらい寝る描写があり、嫌なことを積極的に忘れようとしているようにも見える。

また伊は良い意味で変わっていないとも思う。「やっぱり俺たちその頃から1・2の3で繋がってたのかな。だってほぼ同時期に、新たな一歩を踏み出そうとしていたってことだろ!?」という伊はだいぶ前向きだよね。独のいう「どんな時でも前向きになれる強さ」を最初から伊は持っていた。 

 

成長したのは伊だけではなくて、日は「私は他所様のことはあまり」に対して中に「またそうやって、何でも他人事ある」と言われていたが、自分の意思で歩むことを決意した。独は「過去のことなんていちいち覚えていない」に対して普に「お前は昔からそういうやつだ」と言われていたが、過去生きた人々が自分のために残してくれた沢山の思いに気付く。

枢軸みんなの成長物語だった。

 

 

普の存在解釈について 

NW最大の物議である(と勝手に思っている)、普の消滅について。

ヘタミュにおける国の消滅は人間の死と同義なのは、伊が倒れた時の演出で命名白白だった。

 

「今いないからだよ!!」という伊の台詞、初見で背筋凍った。今見ても息を飲んでしまう。ヘタミュでは、普は消滅したという解釈をした。これがどういうことだか、お前に分かるかどいつ!

普は現在時系列、つまりおれさま日記の中にしか存在しない存在。『胸をはって』で日記を読んだ独を、普は存在しない者として笑いながら見守っている。端的に言えば、ある意味原作で生きてるキャラを殺すわけだから、消滅ルートなんて人によってはド地雷もいい所である。

ただ完全な消滅が明言されたわけじゃなくて、今もどこかにいる"かもしれない"という言い方であり、ラストの普もすごく曖昧な描写をされている。

 

最後のお花見では肩に小鳥を乗せた普がいる。あれは実際に存在している普なのか?伊の想像の普なのか?

伊が流れ星を降らせたあたりから、この光景が想像なのか、夢なのか、現実なのかが分からなくなってくる。

「ビールだろ、普通」という独の次に普が「その通りだ!」と言うのだが、伊は「じゃあ、独はビール想像していいよ」と、普の台詞が聞こえていないかのような返しをする。普通なら「独と普はビール想像していいよ」となるのではないか。

普の存在が、お花見の想像主である伊に物理的に認識されたのは『神様のしずく』の「でもさ 今は」で、普が伊の手を取り立たせる瞬間からである。その後のシーンでは「世界会議を始めるぜ!」という、桜の木の下で皆で世界会議をする風景になる。これは伊の夢の光景なのか?未来の現実の光景なのか?

解釈は委ねられているんだろうな。「小鳥を乗せた普は存在している普」と考えることもできるが、どうしてもビールのくだりが引っかかってしまう。

しかしそもそも、伊の記憶から消えていた神羅なのに、伊が昔のことを思い出すきっかけになったのは何故なのか。最初に登場した神羅は一体何なのか。

だから私は、「夢じゃなく、俺様は今もいるぞ」を信じたい。伊の言うように、今も「きっとどこかに」いるんだと。

 

 


その他 

今回旗振りは「舞台から旗が下りてきた時」とタイミングがとても分かりやすく、かつ旗が有効活用される演出があってとても良かった。今までいつ振っていいか分からんとこあったからね。日本人周りに同調しがちだからね。なのでぶっちゃけSWもGWもフラッグ買ってなかったんですが、今回は初日見終わった後すぐ買いました。何となく会場のフラッグ所有率も今までより高かったような。というか95%くらいの人が持ってたのでは。

旗といえば、小道具の国旗が今回ちゃんとアイコン当てられてて綺麗になってた。SWでは舞台上で一切使わない紐がついたままで、GWでは紐はなくなったけど畳み皺があって気になってたんだよね笑。

 

米の自由の女神部品キックや、ちびたりあと神羅人形をぶん投げたりと、巨大な本のセットを物理的に越えさせる演出が何度かあったけど、割と失敗しててそこ見るのもちょっと面白かったな。特に前者のキックはサッカーでゴールシュート決まるか⁉︎みたいなわくわく感があった笑。後者はシリアスシーンなのでなかなかの緊張感。一番ドキドキしたのは、人形がセットを越えきれず、セットの上に乗っかってしまった時…(その後本の開閉で無事落ちた) 

日替わりの話。『由緒正しきオーストリアと〜』のバックコーラス、円盤では下手にドーバー、上手にナンブラだけど、ここの組み合わせちょくちょく変わってた。一回出とちり事件もあった気がする。あと米と英のアドリブのとこ、最初は普は本当に見守ってるだけだったけどいつの間にか巻き込まれるようになってた。それでアドリブ力のヤバさが露呈する。 

 

ラスト桜の花びらが降り積もる光景が本当に美しいんだけど、歩いたり踊ったりすると足下で桜が舞うのもすごく綺麗だから積極的に足下見てしまった。

 

そういえばヘタミュNWでは、一度も「平和」というワードが使われていない気がする。「上手くやっていける」「仲良くしよう」という表現。GWでは『新大陸へ!』の歌詞で「平和のゴールに向かって」というのがあったけど、平和って何だろうって話だもんな。そういう定義の言い換えはヘタリアっぽい。

 

 

ランダムグッズのワッペン。めっちゃ可愛い。

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大楽終演後、出口で配られたチラシ。

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上で書き忘れていたが、大楽の席が私1階最後列だったんだけど、カテコで全てが終わった後の拍手の時、さらに後ろから拍手が聞こえてきて。少し振り返ったらスタッフさんがたくさんいて、扉の前で拍手してた。スタッフさんにも愛されてるのが分かって嬉しかった。ああでも、涙でボロボロだしスタオベしてたら突然暑く(熱く?)なって汗だくだしで、オタクべしょべしょなの見られるのは割と恥ずかしかったわ。

 

ヘタリアは多くのストーリーがあって、伊が主人公でないような場面も多いが、ヘタミュにおいてはどこまでも伊が主人公であることはブレなかったように思う。圧倒的な前向きさを持つ伊は「ヘタミュ」の主人公にぴったりだった。

ヘタミュがパスタで始まりパスタで終わる、最初から最後まで伊が主人公の舞台で良かったなぁと思う。もちろん北欧編とか未だ諦めていないけど。

 

ヘタミュで、愛の力を知りました。舞台というエンターテインメントビジネスにおいても、愛し愛されの相互作用がはたらくことを知りました。本当にありがとう。

大楽で客席から見た桜の木とまるかいて地球の景色は一生忘れないでしょう。

ライブの頃は少し開花には早い時期かもしれないが、また花が咲くその時まで!

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★

*1:ちなみに2016年の最熱はヘタミュGW

*2:この演出コントラストは、米の倉庫掃除にも見られるし、だからこそ私はGWが刺さったのだと今にして思う。

*3:ここのお祭りのシーン、つまりGWのシーンでちゃんと西国旗が掲げられていることに愛を感じる。

*4:CD発売後追記:でもやっぱり『ドイツのたくらみ』はあまり聞けない

*5:関係ないけど、逆に舞台を先行して見ると舞台俳優の声がイメージに定着しがち。私はもうどうしても東堂尽八は玉城さんの声で再生される。