芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

板垣塾

 

『板垣塾』

2017/2/23 東京芸術劇場シアターイース

演出、板垣恭一による「演技の作り方」ワークショップ

◆「演技について」「物語について」の講義

◆過去の弊社作品の台本を使用し、様々な役を俳優の皆様に演じていただきながら、解説や考察を行います。

◆俳優の皆様にそれぞれエチュードで自由にシーンを作っていただき、そのシーンの考察を行います。 

 

 

正面ブロック1列目上手にて

 

 

思ってたより本格的なワークショップのガッツリ塾でした。

分かりやすくて成る程と思うことばかりで、とても面白かった。

 

90分かと思ってたら130分はやってたね。というか最初に配られた大江戸鍋祭りの台本の存在忘れられたまま締めそうになり、その時点でおそらく90分だったね。

滝口さん、二瓶さん、原田さんという良い役者さん3人も出てて3000円は信じられないと思ってたんですが、3人とも完全に生徒してたのである意味納得でした。

しかし情報量が半端なく、これが3000円で聞けるのは凄い。

演劇好きな人は絶対聞いた方が良いと思いました。今回の聴講者250人程度だったのが本当に勿体ない。

最初に板垣さんに「メモとりたくなることもあるかも」と言われた時に、筆記用具出しておいて良かったです。

 

 

 

メモに基づく覚え書きレポ。感想は最後。

一応勝手に項目つけてますがほぼすべての話は繋がっていると思ってください。

 

 

 

『目的』について

・「歩く」と「行く」の違いとは?→目的の有無。

★役者3名、お題に沿った歩き方をする。

 ex)遅刻しそうな時、行きたくない仕事に行く時、好きなスタッフがいる仕事に行く時

・役の気持ち=感情、ではない。「好き」という演技はない。

 

★好きという演技をするなら「何がしたい」か?

 二瓶:見ていたい。お話したい。

 滝口:匂いをかぎたい

 原田:何かを共有したい。まったりしたい。

★原田彼氏、二瓶彼女で、彼女が彼氏の家に来た時の台詞無しエチュード

 

・演技に悩んだら、五感に変換する。

    ex)見たい、触れたい、聞きたくない

・人間が表面に見えるのは「行動」だが、階層にすると

 「行動」

 「目的」

 「感情」

 「出来事」

 となる。出来事が起き、その出来事に対する感情が生まれ、その感情に基づく"どうしたいか"という目的が生まれ、その目的が行動に表れる。

 目的以下は普段は無意識だが、考えることで演技になる。

・客(人間)は役者(他人)を見る時、常に行動から目的・感情を推理している。

・演技の要素は「動き」と「台詞」。「台詞」は更に「音」と「言葉」に分割できる。

 感情を推測するための情報が入っているのは「動き」と「音」。

・小説には目的や感情が書かれているが、台本にはそれが書いていない。だから目的などを明確にすること。

 

 

 

『困る』とは/物語の作り方

・物語の最小単位は「誰かが困っているか」。

・舞台上で「困っている人」を客は無意識に見る。

・困る人は「目的」があるからこそ困っている。そこに障害が発生することで「物語」になる。つまり困っている人がいることで物語が動く。

・物語の器の中に演技(目的に基づく行動たち)がある。

 

エチュード(断片的に覚えてる要素だけ記載) 

エチュードのルール:誰かが言ったことを否定しない。そこで話が終わるから。

・1回目 家族設定。役の指定無し。

 原田父・二瓶弟・滝口兄(途中乱入)。

 仕事をまた辞めた父。生活が苦しくて犬も食べた。

 滝口「弟が学校でなんて言われてるか知ってるか!?」←無茶ぶり

 二瓶「え・・・・ゴミ食ってる、とか・・・・」

 滝口「それ以外にもあんだろ!?ほらもう一個!!」←無茶ぶり

 二瓶「・・・・・・お前の親、父さんか母さんか分からないって!!」

 何故かいつもブラジャーしてる父。見せる相手は板垣さん。毎月ブラ(ピー○ジョン)の請求が来る。ブラのデザインを考える仕事のチラシを持ってきた兄。

・2回目 滝口・二瓶で、シチュエーションは病院の喫煙所。役柄は患者。

 滝口は病院のレントゲン技師(役指定ガン無視)、二瓶は患者。2名が喫煙所で久しぶりに再会する。

 思い出話をしている最中、板垣、待機してる原田に「手段は何でもいいから、困らせてきて」と耳打ち。原田乱入。

 原田「滝口さん何してるんですか!あの、この人、なんて?(二瓶に向かって)…ああごめんなさいね。滝口さん、あなた昨日は○○で一昨日は□□だったでしょ!?帰りますよ。あなたは患者です」

 と精神病患者設定で回収。

・3回目 滝口・二瓶・原田で2回目と同様の設定。役指定無し。

 滝口原田医者。二瓶余命数日の患者。

 滝口原田が喫煙所外でしていた、患者の余命が短いことを二瓶本人に聞かれていたが、それを誤摩化そうとする医者達。

 

エチュードの上手さとは、自分が困る側・困らせる側のどちらかを見極めること。

・美味しい役とはもっとも困った人。しかし困らせ役の方が少なくて、難しい。だからそれに気付いた強かな人は、早めに困らせ役にまわる。

・声質が高い方が脳に速く届くため、ツッコミに向いている。ex)ダウン○ウンの浜田さん

 

★板垣、お題出す。原田→二瓶→滝口の順にお題から困ることを答える。

 ex)「鏡」→割れる、映らない 「照明」→光らない、ピンスポが当たらない

 

・「困ること」=「本来の機能を果たさない」「本来の機能ではないことが起こる」

・この障害が「困る」を生み、ドラマが生まれる。

 

 

『面白い』とは

・面白いとは、見ている人の心が動くこと。

 ex)カッコいい、驚いた、歌がうまい

・板垣流だと心が動く度に1ポイントつけてる。ポイントを如何に増やすか。

・「行動/目的感情出来事」のさらに下に「関係性」がある。この関係性は自分と他人の「行動/目的感情出来事」の下で繋がっている。

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(板垣さんが白板に描いた図を写した、自分メモ抜粋。汚くてすみません)

・人間関係には

 「血縁」切っても切れない

 「恋人」sex

 「仕事」金

 「友人」利害なし

 「無」(物語に出てこない)

 の5カテゴリしかない。この中の2つ以上を掛け合わせると必ず揉める。つまり物語が出来る。ちなみにこれら全てが含まれている関係が、エヴァ碇シンジ綾波レイ

・さらに「死」「暴力」「嫉妬」も重要な要素。「死」は誰にでも訪れるものであり、究極に困る要素だから。また嫉妬は誰でも持つ感情のため電光石火で客に伝わる。

・物語は人生の意味付け。文学は詩→戯曲→小説の順にできた。死から物語が生まれた。

 

 

『映像』演技と『舞台』演技

・映像と舞台の演技は異なる。

・映像はカメラ(視点)が役者の方に来てくれるが、舞台はそうではない。だから舞台では自力で客の視点を集める必要がある。

・人はなにに注目するか?

 ①動くもの

 ②音のするもの

 ③ 明るいもの

 これらを利用して視覚を誘導する。

・舞台では、動きを注目を集め、台詞を言う。

 

★大江戸鍋祭の台本で実演

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(汚いメモありでほんとすみません)

・1回目、綱吉 二瓶・柳沢 原田

・2回目、綱吉 原田・柳沢 二瓶

・3回目、綱吉 滝口・柳沢 二瓶

 

 

 

 

以上。以下感想。

 

 

ジャージ懐かしい・・・・・・・・・。

 

エチュード全部めちゃくちゃ面白くて凄かった…。

たっきーさんは元々頭の回転早い人だとは思ってたけど、今回のエチュードでの無茶ぶりの連発(犠牲者へいにー)を見て、人を困らせる天才だなと思いました。

彼女なへいにーが異常に可愛かったり、困らせろという曖昧な指示に対する原田さんのレスポンスの早さが凄かったり、たっきーさんが板垣さんに「ワークショップ向いてない」と言われたり。

 

余談ですが面白い演劇には血縁恋人仕事友人死暴力嫉妬の要素が入ってるって話で、「めっちゃメサイアやん…」って思ったんですが、同行の友人も思ってたらしいのでメサイアは面白いんだと思います。

 

板垣さんは凄いですね。ノンストップで喋る喋る。

言いたかったことリストの半分しか消化できていないそうなので、是非第二弾をやってほしいです。

 

 

 

 

 

★★★★★