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全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

ミュージカル封神演義 -目覚めの刻-

 

『ミュージカル 封神演義 -目覚めの刻-』

2018.1.13-20 EX THEATER ROPPONGI

 

そのむかし―仙人は天空の仙人界に、人間は地上の人間界で暮らしていた。舞台となるは人間界は殷の時代、紀元前16世紀から11世紀まで続いた中国最古の王朝時代の話である。

殷の第30代皇帝、若き紂王(ちゅうおう)は文武両道に長けた明君であった。彼こそは殷を更に発展させるであろうと誰もが思っていた。絶世の美女・妲己(だっき)を娶るまでは…。妲己は邪心を持つ仙女だった。仙人界でも指折りの仙人であった妲己は、紂王に術をかけ己の操り人形にしてしまう。さらに仲間を王宮に呼び寄せ、悪しき仙人たちによって王朝の支配を始めたのだった。妲己たちは毎日パーティーをひらき贅沢三昧。逆に民は重い税を課せられ貧困のどん底に落とされ、国は大きく乱れていった。

事態を重くみた仙人界は妲己を人間界から追い出す為、道士・太公望に「封神計画」を命じる。

「封神計画」とは人間界に蔓延る、悪しき仙人妖怪たちの魂魄を仙人界と人間界の間に新たに作った<神界(しんかい)>に封印し、人間界に平和を戻す計画であった。

命を受けた太公望は、封神する者が書かれた『封神の書』と大気を操ることのできる『宝貝(ぱおぺえ)・打神鞭(だしんべん)』と、霊獣・四不象(スープーシャン)を授かり封神の旅へと出発する。

妲己のいる朝歌を目指す太公望と四不象の前に最強の道士と謳われる、申公豹(しんこうひょう)が現れる。妲己の味方ではないが王宮に住んでいるという申公豹。戦わずして去ろうとする太公望だったが、申公豹の逆鱗に触れてしまい一戦交えることになってしまう。申公豹の操る宝貝・雷公鞭(らいこうべん)の前に圧倒的な力の差で敗れる太公望。しかし被害を最小に留めるために自ら雷公鞭の攻撃を受けたことを知った申公豹は、太公望を「骨のある良い道士」と認めるのだった。

雷公鞭の攻撃から目を覚ました太公望は、もっと気を引き締めねばならぬと改めて「封神計画」への覚悟をする。

旅を続けるなか、太公望は豪快な人柄で民からの人望も厚い、武成王・黄飛虎(こう ひこ)や仙人である太乙真人(たいいつしんじん)によって生み出された宝貝人間・哪吒(なたく)、太公望を「お師匠さま」と慕う青年・武吉(ぶきち)、太公望と同じく崑崙山の道士で変化の術の使い手と名高い、天才道士・楊戩(ようぜん)らと出会い仲間を増やしていく。

太公望は旅の途中に幾度となく殷王朝に絶望し、苦しむ多くの民と出会った。真の平和のために悪しき仙人・道士たちの魂魄を封印するだけでなく、殷に代わる新たな王朝をつくる必要があると感じ始めていた。そして遂に殷の西部である西岐で民から絶大な信頼を集めている西伯侯・姫昌(きしょう)と運命的な出会いを果たす。

姫昌の協力もあり西岐で着々と殷に攻め入る準備を進める太公望の元に『武成王・黄飛虎窮地』の報せが届く。妲己の策略により、飛虎は愛する妻と妹を殺され失意のなか殷を捨て太公望のいる西岐へ向かっていたのだった。

飛虎を助ける為、太公望たちは彼の元へと急ぐ。時を同じくして、飛虎の息子である天化も仙人界での修行を経て父の元へと向かうのでった。

一方、殷では飛虎の裏切りを知り静かに怒りの炎を燃やす男の姿が…。彼こそは金鰲三強の一人であり、殷の太師である聞仲である。自らの目的のためには非情になることも厭わない冷徹な聞仲と明るく豪快な飛虎の性格は対極ではあったが殷の繁栄と安寧を願う気持ちは同じ。殷のために苦楽を共に過ごした親友であった。飛虎の裏切りに衝撃を受けながらも自らのけじめとして九竜島の四聖(しせい)を追手に放つ聞仲。

殷にとって強敵となりえる西岐の地を目前に太公望たちと聞仲たちとの激しい一戦が始まる―。

https://musical-houshin-engi.com

 

 

1.13 M列下手

1.16 S列上手

1.20夜 2階最後列センター

にて

 

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封神演義は、元々フジリュー原作が大好きで。普賢最推しだから、今回出てなくて良かったと思う。心の準備ができてない。

原作のオタク、割とメディアミックスにトラウマあるでしょ。私もです。

 

封ミュ

見て

 

いや、良かった……良かったよ…………私の場合、

"演出:吉谷光太郎"

の文字を見た瞬間に、8割方「勝ったな…」という思いはあったものの、案の定の大勝利。贔屓目は、多分ある。

約2時間半で単行本6巻(完全版5巻)くらいまではやるもんだから、ぶっちゃけストーリーもキャラクターも割と容赦なく削られます。王貴人と胡喜媚も雷震子も土行孫も削られます。三姉妹削ると思わなかったわ。でもね、「メインビジュアルで王魔と高友乾しかいないから、李興覇と楊森は削られたんだ……封神はミュージカルでも手抜きか……」と思うじゃん?ところがどっこい開けてびっくり、四聖全員がっつりいます!!アンサンブルさんががっつりキャラメイクしてくる。

西伯侯 姫昌も、出る。まさかの傾国の美青年が姫昌さまを演る。封ミュ、プリンシパルキャストがアンサンブルやったり、アンサンブルキャストが本来ならばプリンシパルであるはずのネームドキャラをフル装備でやったりするから、境界が分からない。

とまあ、多くのキャラクターが存在匂わせだったり出なかったりするんですが、ここは必須だろってエピソードはきっちり丁寧に抑えられてて感動した。初日観た後に漫画読み返したんですけど、セリフがほぼそのまんまで鳥肌立った。

そして、これは確かに「目覚めの刻」。あんまりサブタイ意識してなかったけど、これは「目覚めの刻」。この舞台だけだと、冗談じゃなく「俺達の戦いはここからだ!」って話です。でもちゃんと伏線セリフもあるし、2時間半に納めるまでのストーリーとキャラクターのチョイスには、続ける意志を感じた。もしかして封ミュは、"原作の最後"が見られるチャンスなのでは?

なので、原作好きな人こそ封ミュを見てほしい。ポリマジさんよくネット配信するから、多分どこかしらで見られるよ。でも円盤買ってもいいと思うよ。というか買ってほしい。本当に続編をやってもらわないと困る。

 

ストーリーについては上述の通り、本当に容赦なく削られてるんだけど、全く違和感ないくらい繋ぎが上手いし、全体的にも筋が通っている。関係ないけど脚本の丸尾さんはライチ光クラブの残酷歌劇の脚本もやってて、残酷歌劇じゃないネルケのライチでこさえた私のトラウマを払拭してくださった方である。

削られたことで説得力が薄くなる部分は、色々と工夫してバランス調整されてるなと思った。例えば初っ端の申公豹戦で、申公豹が雷公鞭使った後のセリフ、

原作「後ろに村があることは分かっていました」

ミュ「なるほど、後ろの村を守るために避けなかったんですね」(細部うろ覚え)

と変わっているんだけど、この変更でミュ申公豹は「村の存在に気付いていなかった」ことになる。そこ変える必要あった?と思ったけど、ここで申公豹の頭の良さを封じることで、物語全体を通して太公望の「知力」を強調してるのかな、と。王貴人、胡喜媚が出ないことや陳桐戦が秒で終わることなど、封ミュにおいて知略の掛け合いバトルは完全カットもしくは部分カットになってる部分が多いし、単純な「戦闘力」は敵の数で示せるのに対して、「知力」はどうしても場の数がないと示しづらいからなぁ。他下げ自分上げは歓迎されるべきではないが、まぁ舞台というフィールドに持ってくる以上、仕方ない部分かなとポジティブに考えたい。

 

冒頭で「キャラのチョイスに意図を感じる」と書いたが、何となく今回ビジュアルを削ったキャラは今後出ない気がする。そして原作1/4終わってて今いるメンツ+αの話をやると考えると、三,四部作くらいで全部やれる気がする。サブタイ付けたりインタビューで続きが云々の話してたり、制作さん、元々続きやる気満々だよね?ね?

名エピソードとストーリー上の必須項目以外はばっっっっさりいく印象があるので、今後新キャスト出るとしたら姫発、趙公明、玉鼎真人、王天君、あたりかな~~~。普賢ちゃんは50000億%出ると信じています。推しなので。趙公明は、覇穹で切られたけど、あんなミュージカル映えしそうな人を出さない手はないでしょ。EXシアターのミラーボール、いつ使うの?勝手に趙公明キャストは寿里さんがいいなと思ってます。王天君は個人的に植田の圭輔さんのイメージありすぎるんだけど橋本望ちゃんと植田王天君ってすごいリボルバ*1ってんな…。

 

 

 

 

★★★

*1:REVOLBERという吉谷さん脚本演出舞台。ここで橋本さんと植田さんは割とニコイチ的な役だった。