『SPECTER』
2015.3.18-22 大阪ABCホール
「この村は死んでいるのと同じだ────」
外界との関わりを絶つ森奥深くのネブラ村で、猟奇的な連続殺人事件が起こる。
それは繭期[人間でいう思春期]を迎えた吸血種の少年少女たちを収容する施設「クラン」から脱走した四人の吸血種たちの仕業であった。著しい情緒不安定に陥る繭期の少年たちは、ある目的のために凶行を重ねていた。
ひとりの村人が掟を破り、事件解決のために部外者であるヴァンパイアハンターを村に招き入れる。だが調査が進むうち、村人たちが抱える秘密の蕾が緩やかに綻びを見せていく。村人たちはなにを隠しているのか? 繭期の吸血種たちはなにを目論んでいるのか? やがて、吸血種たちの間で語り継がれる伝説上の吸血種「TRUMP」の不老不死譚と、「永遠に枯れない花」をつくろうとする植物学者の悲恋が事件と繋がりを見せる時、その秘密は白日のもとへと曝されていくこととなる……。
https://www.west-patch.com/event/specter/
※TRUMP、LILIUM、SPECTER、グランギニョルネタバレ
※舞台外情報はあまり網羅できてません
見たいなぁ見たいなぁとは思っていたんですが、グランギニョル後にようやく見られた。
Patch初心者なので知らない役者さんしかいない(かろうじてハイステで見た近藤くん)舞台も久しぶり。
見て良かったです。グランギニョルがウル誕生の話で、SPECTERがソフィ誕生の話。両方同じくらいの割合でストーリーに絡み、呪いをかけられ。正にTRUMPシリーズ知ってる人は2倍楽しめますって感じ。
第一印象、衣装がすごい。総柄。花柄。すごい。ヴァンパイアハンター組がすごいどうした。石舟さんのお帽子がクセになる。
グランギニョルと衣装テイスト違いすぎて、これが貴族と庶民の差なのだろうか。殺陣も全部短剣だし。
グランギニョルと同時系列だということは開始5分で思い知らされたし、これが2年前の舞台っていう事実にゾクゾクする。綺麗な伏線回収は気持ちいいですね。
石舟と春林の報告演出が同じなのは、同時期なの関係あるのかなー。
やっぱりヴァンパイアハンターが好きです。
石舟さんがローザたちに捕まったあたりで敬語が抜けるのがぐっとくる。緊迫した状況だと敬語忘れるタイプですか?
萬里くんはクソガキはお前もだと思いつつカッコよかったですね。最後のメッタ刺しはツラかった…。
また一番キツかったのは、シャドがローザを殺させまいと友人たちを殺していくも最後はイニシアチブで自らがローザを殺すことになるところでした。
シャドは「俺たちは所詮、亡霊だったんだよ」と炎の中に消えていくのですが、TRUMPでのダンピールはとことん弱者で、いつ救われるのでしょう。
ダリちゃんとかのインパクトが強すぎるせいか、ギャグパートが極端に少ない印象。
萬里と石舟の「奴隷にしたい」「まさか……………………………………私?」
と「クラ…クラ…クラなんとかはどっち!?」「「✋」」
のくだりが面白かった。石舟さんドMの片鱗見せるのめっちゃ面白いから本当にまた出てきてほしい。
萬里が襲名制の文化になって、TRUMPでの臥萬里はまた別の人なのかと思ってたんですが、グランギニョル年表見たら「名付けたソフィと再会」って、あれノームなのか。
SPECTERのノームが10歳らしいですが14年経ってるわけで、24歳で転入生はちょっと鯖読みすぎだろノーム。
繭期ナイトによると、TRUMP萬里は死んでるよっ!ってことが言いたくてSPECTER作ったらしいので、後付け設定だと若干苦しいところも出てくるんだなぁと逆に安心した笑
ノームの最期、つまりTRUMP萬里くんに対して私が抱いた感想が
最後あっけなさすぎて、もっと何か見たかったなぁ。
でした。「呆気なく死ぬ」の予言でゾッとした。もう終わった演劇なのに、心読まれたと思った。やっぱりみんな「呆気ない」と思ってたんですね。
今回特に「生は呆気ない」ことが強調されていました。不老不死との強調対比として引き合いに出されそうなものですが、他のシリーズでは案外そんなこともなく。永遠か刹那か、どちらが良いのか客側もより深く考えさせられる。
SPECTERにもあったんですねぇ、アレンのポーズと、「我は守護者なり」。
アレンの星に手を伸ばすポーズはクラウスが相当動揺していたのでやはり偶然なのか。
「我は守護者なり」はソフィとリリィと同じような因果の一つか。
ところでクラウスの山浦さんって、初演再演のクラウスだったんですね。それはノークレジットで舞台に出てきたら衝撃すごい。
サトクリフがハリエットの首を締めた時に「何故死が見えない」って言ってたのは、ソフィの未来を見たからかな。あの時点ではハリエットとソフィは同体だからハリエットより先の未来を持つソフィの不死の未来が見えた。
LILIUMの『或る庭師の物語』の庭師がソフィと断言されているようなので、庭師の歌詞「だけど結局その花も儚く朽ちて果てるのだ」から考えるとソフィの最期は「死」なんだろうと思っていましたが、うーんいよいよTRUMP年表の結末が分からない。
クラナッハがクラウスに激似で、その息子がソフィってのはなんか引っかかるものある。
以下、その他違和感など、気になった点をいくつか。
まずは妊婦の扱いが過酷すぎでは。
臨月の妊婦があんな飛んで走ってしていいのかっていうのと、「産まれる」ってなってから走って戦って切られてまた走って首絞められてーでちょっと強すぎる笑
SPECTERにおける「ダンピールは短命」設定とローザ関連も疑問が多い。
ローザ父は原初信仰の人間なんですかね?20年前のスティグマ事件を起こしたということは、SPECTERの1年前に殺された時点で40歳くらいにはなってるからダンピールではなく、ただの不老不死に憧れる人間っぽい。ちょっと劇中で言われてたか定かでない。
でまぁ、その人間がスティグマ事件の後、村にやってきてダンピールのローザ母と出会ってローザが産まれた。と考えるとローザは繭期ギリギリの18歳くらいなのかなと思うのですが、グレコの「いい歳して繭期抜けてない」って台詞で、えっいい歳なんだ…と。
確かに立ち振る舞いはどう見ても20超えてるので、計算して初めて「20は超えてない」という結論に至ったのですが。いい歳なんて言われちゃって、やっぱり超えてるのでは。
あとは「村人に若い人間しかいない」と石舟さんが言ってましたがいかんせん32歳らしい萬里と他の役者の見た目が完全に同年代、むしろ萬里くんが子供っぽいから、若いのに若く見えない笑
そんなわけでどうも「ダンピールは短命」感が薄かった。
まぁ後のグランギニョルでもポジティブダンピールさんが出てしまったので、ダンピールも10人に1人くらいは長生きするんでしょう。多分。
年表と合わせて考えると、村の創設者であるメリーベルが恋人アレンの死を悲しんで湖で自殺したってことになるが、村を作るなんて一朝一夕でできることではないしアレンの死がメリーベルに伝わるのはそんなにも遅くはないんじゃないかと思うし、ここらへん若干時の流れが不明です。
クラウスがクラナッハに脅迫された時にクラウスがクラナッハを噛まなかったのは永遠の生命を与えてしまうことになるから?
でもクラナッハは人間だからイニシアチブ以前に噛まれたら死ぬような。
クラウスが研究内容に興味を持ったから生かしたのは分かるんですが、クラナッハがTRUMP相手に脅迫できると思っていたところが謎。多分気に留めるほどのことではないと思うけど。
ローザの、「死に恐怖しろ」というイニシアチブをかけられたウル並の、死への恐怖の根源は何だったのだろう。
殺人どころか同族殺しを、ただの書物の記載だけで決行できる狂気は尋常ではない。
特典映像について。
patchさんトークが全員関西弁で楽しい。松井くんはお喋り上手ですね。
石舟の三好くんがよー喋り、萬里の中山くんが聞き専でモグモグしてるのが面白い。
「Dボのイケメンさん達見た後オレら見てみ、ブスばっかやん」は正直めちゃくちゃ笑った。
あと、SPECTER見た後にドナテルロ回顧録読みました。
ショックです。二重に。
気になる点メモ
・萬里の奴隷欲しがり癖
・クラナッハに枯れない花の研究を依頼した依頼主
・クラナッハの研究への執着
・猫の鈴の音のタイミング
・人に懐かないクラナッハの猫がクラウスの前には現れた理由
・ハリエットが湖に呼ばれた件
・「永遠の繭期」というワード
関係性メモ
・TRUMPソフィはクラナッハ(人間)とハリエット(ダンピール)の子供。ロダンは祖父。
・ノームはSPECTER臥萬里の息子フラグ。
DステTRUMP感想:
グランギニョル感想:
★★★