芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

音楽劇 精霊の守り人

 

『音楽劇 精霊の守り人

2023.

7.29-8.6  東京 日生劇場

8.13  大阪 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール

9.3  新潟 新潟県民会館 大ホール

9.9  千葉 千葉県東総文化会館 大ホール

10.1  山口 シンフォニア岩国 コンサートホール

 

ここは人の世と精霊の世が交錯する世界―。
短槍使いの用心棒・バルサは、思わぬことから、恵の雨をもたらす精霊の卵を宿した皇子チャグムを守ることになった。卵がかえらないと、この国は大干ばつになってしまう…。大呪術師のトロガイと、その弟子でバルサの幼なじみ・タンダの助けをかりながら、身の危険きけんをかえりみず、卵を狙ねらう魔物や帝の刺客からチャグムを守り、戦うバルサ
チャグムは無事に卵をかえし、自分の国を干ばつから救えるのか―。

https://moribito.nissaytheatre.or.jp

 

 

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7/30昼
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8.6昼

 

 

 

7.30昼  K列上手

8.6昼  2階G列センター  にて

 

 

 

最初、内容に全く関係ない主催への愚痴です。本当にキャストさんもそのファンの方も全く悪くないです。

その後の感想も、気持ちいい感想ばかりじゃないから読まない方がいいかもしれない。

 

 

 

 

 

私この小説、大好きなんよ。小学生の頃からずっと大好きで、小さい本棚に選抜小説として全巻揃えてるくらいには大好きなんよ。

そんな小説が舞台化して、しかも大好きな日生劇場で、しかもしかも推しが出るってんだから1mくらい飛んで喜んだ。ちなみに推しは実写ドラマ版にもモブとして出てます。

子供も楽しめる用の日生劇場ファミリーフェスティヴァル公演と、ロングバージョンの特別公演があると。まあ特別公演のが断然見たいけど、公演数が半々なのはそんなもんよな。チケ代も日生劇場安いし、全通の勢いでたくさん行こうと思ったよね。

 

でもさ、あんま行けなかったよね。

明日海さんFC先行があるのは知ってたけど諸事情で逃しちゃった。ぴあ貸切もイープラ貸切も全滅。

その時点で自分本気度薄くない?ってのはまあ、そう。あとキャスト人気が分からなくて初手で数打たなかったのは完全に敗因。チケットは努力運実力ツキですからね。

ただ私が一番キレ散らかしたのは、オフィシャルが告知してる、実質の最速先行であるplus a先行。

ぶっちゃけそもそも、特別公演5公演中3公演が"貸切"扱いって時点で萎えてたんだけど、plus a先行の内容見た瞬間、ガン萎えしちゃった。

 

① 初日と東京楽日のS席がそもそも申し込めない

② 特別公演は、貸切でない2公演のうち8/1(平日昼)の公演しか申し込めない

 

 

 

イープラ先行とぴあ先行は各貸切公演しか申し込めなかったはずだし、つまり、キャストFC先行で、全部チケット出したってこと?

明日海りおFCとどうやらあったらしい他のキャスト先行でどこまでチケット申し込みできたか知らないけど、えっ、あっもしかして、キャストオタク以外に、観せる気なかったです?

こんなあからさまに"余り"を出されて、それが公式最速先行なんだ……。いつもこんな露骨にキャスト売りしてるの?ちなみに私の推しの先行?なかったよ。あってもキレてたけどね。

あくまでも、少しでも長くて完全版であろう特別公演が観たかった俳優オタクのバイアスだしこんなこと思いたくもないけど、「精霊の守り人の舞台は、人気役者のためだけに作られた作品なんだ」って感じてものすごく悲しくなった。本当に萎えた。萎えすぎて根も腐った結果、7月入ってから譲渡を探すのもやめた。

そして特別公演もいざ開幕して蓋を開けてみれば、15分しか公演時間違わないの、ワロタ。3000円もチケ代違うのに……と思わざるをえない。円盤は買うけど、特別公演配信は見ないので1月まで内容の真相は分からん。

 

割と見づらいHPとTwitterぐるぐる見てたけど、もし私が見逃した、ちゃんと全公演S席対象の先行が他にあったならマジで教えてください。情弱だっただけなら訂正しますので……。

 

 

はい運営への愚痴終わり。

 

 

 

 

 

日生劇場が大好きすぎる。まず海のような内装が良い。音響も視界も良い。壁の天井付近にある間接照明も演出に使えるのも良い。非日常の没入感No.1劇場だと思う。最高だ。「精霊の守り人」において日生劇場が使われたことはこれ以上ない大正解。今までなんとなくミュージカルフランケンシュタインのイメージがあったけど、これからは精霊の守り人劇場でも全然良い。

ファミリーフェスティバル公演だから、子どもも沢山いた。ほんとに沢山いた。体感、8/6の方が多かったかな。「いる」と分かってるから開演中に騒ごうが前の席でじたばたしようが大して気にならなかったが、ラストのバルサ一人語りシーンでめちゃくちゃ飽きてる子がいて、まあまあちゃんと意味のある言葉を発していたから私の意識はどうしてもそちらに持ってかれたのだが、バルサの梅田さんは全くブレず動じずで「役者の集中力すげー」と素直に思った。

 

しかし私はこの舞台を観て、「本当の面白さとは」が分からなくなってしまったんだ……。

初見の幕間、1幕のあまりの静止画っぷりに私は初見で飽きていた。クソ失礼を承知で「推し演出家ならここはこうするだろうな」と1シーンに3回は考える余地があるくらい、飽きていた。

私はロビーに出た(携帯の電波が一切入らないので)。

目の前にいた4,5歳くらいの男の子がお母さんに言った。「おもちろいね」と。

 

 

……………………

chu…汚れててごめん………………………

 

 

私はいつからこんな批評する老害オタクになってしまったのだろう………。6800円の舞台に対してボールの軌跡のピンスポライトがないだけでブー垂れたりして……(テニミュ4th初期)。あまりに多くを望みすぎるよ~少なすぎるわ~

色々な演劇を12年に渡って観てきた私にとっては物足りないだけで、子供にとっては面白いのかもしれない………。面白かったとキラキラした目で親に話す子供、飽きに飽きて前の席でぐにゃぐにゃする子供、面白かったねと子供に優しく話しかける親、飽きてキャストの裏の動線を考え出す私…………。私の友達(ほぼ同担)も良かったと言ってる人も多くて、水差しもしたくない。面白さってなんだ。もう分からない。あ、推しは最高でしたマジで最高、ビジュも役どころも最高これだけで10000円の価値あった(必殺手のひら返し)

 

 

感想(素直ver.)

ほぼ朗読劇だなと思った。

1幕2幕共通して言えるんだけど、説明セリフが長い&メインで話してる人以外の人の棒立ち状態が多すぎる(どんなに演技が上手い人でも、待機モーションではオペラ定点のオタク以外には何も伝わらない)。役者が動かないならライトを動かすとかあると思うんだけど、ライティングもそこまで変化がない。こんな動かない演劇久しく見てないか初めて見たかもしれん。

これは子供をメイン一点に集中させるための演出であると自分を納得させてるけど、すごく大人の私が飽きてるんだから子供はもっと飽きるんでないのかな……。これは自論ですが、演劇の面白さは情報量の多さに比例すると思っているので……。

殺陣のSEがない演出なのも、「これは6000円…これは4000円……SEスタッフが足りていないのかもしれない………」「これは子供向け……子供向け………子供が怖がるからかもしれない……」とひたすら自分を納得させていた。初見だと本当に違和感あったし、私ずっと贅沢させてもらってたんだな……と思った。なお2回目はちょっと慣れたし、舞台キングダムも(帝劇でチケ代2.5倍なのに)なかったらしいから、私の常識は常識ではなかったんだな……と反省もした。

 

ストーリー

予想通り、忙しい人のための精霊の守り人。色々変更点はあったけど、まあいいか。

ただ原作では8ヶ月分、バルサとチャグム(とタンダ)が過ごした時間があったが、舞台版では1ヶ月間かつこちらの体感は1週間だった。ゆえにラスト、チャグムがバルサと一緒にいたいと言うシーンの説得力は…………………………い、1ヶ月で…………?

 

1幕

動きがなさすぎる。あんなにアンサンブルいるのに舞台上に存在する人が少ない。舞台上の余白がすごい。

ジンとシュガの歌のサービスシーン*1は1幕だっけ?2幕だっけ?

洞窟は2幕か?あの洞窟、ただでさえ紗幕は邪魔な存在なのに映像を投影し続けられると、少しでも上下に座席振った瞬間、役者が見えないのがなかなかのストレスなんだよな……。

 

2幕

2幕は良かった。

特にラストバトルはマジで良かった。いやミザンスとか思うところあるにはあるけど、良かった。ここで盛り上げるために他を平坦にしたの?緩急…ってコト?!とポジティブに考えたが多分普通に違います。

シュガの地下のあたり、映像と動く板の使い方が上手くて良かった。ここのシュガの日替わりが一番好きだ。

チャグムの産卵シーンは、筒状で空気を含みやすい布を使って新体操のリボンみたいに人を隠す技術めちゃくちゃ良かったしプロジェクションマッピングも良かった。この辺りだったか忘れたけど、ラスト付近で日生劇場天井の間接照明も青く光ってて、本当に空間すべてが飲み込まれたようですごく綺麗だった。

チャグムが卵を守ろうとするところは泣いちゃったよ。Wキャスト2人とも良かったよ。

サアナン行くぞーみたいな曲、私だったらあそこで幕切れさせて休憩入るなと思った。3時間公演だったらワンチャンあったかもしれない。

 

 

キャスト

Wキャストの組み合わせ見ずにチケとってたからバルサが両方梅田さんだった。噂のみりおさんも見たかった。

梅田バルサのビジュは「金髪ではないんだよなー」と思いつつ、小説だからね、決められたビジュはないからね。

梅田さんは演技上手かったし歌の時もこのロングトーン良いなと思った時もあった。タンダが一番最初に助太刀に来たときの「タンダ!」の言い方だけが、"女"を感じてしまいどうしても受け付けず。

水石さんのシュガのビジュが最高で拝んだ。地雷系メイク(笑)かわいいよ。映像だとクズ役多いけど、舞台だと賢い役多いから私は彼を舞台で見たいよ………。トロガイへの日替わりネタも爆笑かっさらってて良かった。日替わり担当だったのありがたすぎる。

トロガイと言えば、雛形あきこ……聞いたことあるような……と思ってたが、Twitterで旦那さんと仲良くて面白い人じゃんって観劇2回目までに気付く。トロガイが一番解釈合いでしたね。

タンダとチャグムは幸運にも両キャスト見られた。

タンダは最初にやましげさん見て2回目に村井さん見た。やましげタンダがラスト以外の全編ギャグでお届けしますって感じだったのに、村井タンダがただただカッコよくて、やましげタンダの様子がおかしかっただけかと気づけて良かった。逆に村井タンダはラストで「やられタンダ」とか言ってて、どうした???ってなった。元キャストの今井翼さんだったらどうなっていたのだろう……。

チャグムはデカくて、いや、デカいな!?!?!!梅田さんが152cmしかないから対比で余計に………というか込江さんとか最早181cmの水石さんと向き合ってようやく小さく見えるレベルだったから多分170は余裕で越えてたな……早くWiki書き直しな……(8/6時点黒川さん158cm、込江さん142cm表記)。込江さんは落ち着いた王子の印象。黒川さんはちょっと滑舌に伸び代だったけど演技は上手かったと思う。

帝の唐橋さん、村長もやってるけど絶対チョケてやるという気概を感じた。ゆっくりした帝の話し方、一番原作の描写に忠実だと思った*2。でもカテコの帝はいつも両手で衣装の裾持ってぴょこぴょこしながらはけてって、絶対チョケてry。

狩人はキャスティングは3人なのになんかちゃんと4人いたね?おけんとさんマジで久しぶりに観た。テニミュでしか見てないから今何してんのかなと思ったらeスポーツチーム入ってゲーム配信者にもなってて驚いた。

 

 

 

しかしキャスト・劇場の強さと、演出の省エネさ・物足りなさが、チケ代と照らし合わせてなんかアンバランスなんだよなー。ほとんど子供にとってはキャストのネームバリューはどうでも良いわけで、親の方を釣る戦略……と考えるにしてもなんとなく半端な感じする。実際キャストオタク優位なんだもんな(根に持つ)

結局誰向けだったのかなー。

 

 

 

 

 

 

 

★★(★)

 

 

 

*1:原作であの対比構図は発生しないはずなのでサービスシーンだと思っています

*2:まだ皇太子が抜けてないチャグムが「どうして町の人たちはあんなに早く喋るのか」と聞くシーンがある