芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

ピカレスク◆セブン

 

ピカレスク◆セブン』

2018.1.

6-15   東京 池袋サンシャイン劇場

20-21 大阪 サンケイホールブリーゼ

27      愛知 岡崎市民会館あおいホール

 

 

 

時は江戸時代。三代将軍、トクガワイエミツの治世。
長き戦乱の世は終わりを告げ、トクガワ幕府の元に天下の泰平は永劫に続くかに思われた。
だが…。世を再び乱世に戻さんとする者が現われる。

東照大権現・トクガワイエヤス』
かつてトクガワ幕府を開き、泰平の世の礎を築き上げた、その人であった。

冥府より黄泉返りしトクガワイエヤスは『神』を名乗り、5人の亡者と共に瞬く間に日ノ本を手中に収める。
民は嘆き悲しみ、日ノ本は闇に包まれる…。
さらに、その魔の手は世界にまで伸びようとしていた。

だが、その中にあってイエヤスに反旗を翻さんとする者達がいた。
人は彼らをこう呼んだ。
ピカレスク◆セブン』と。
イエヤスの孫『トクガワイエミツ』は、異世界[物語の世界]より召喚されし
[七人の極悪人]を率いて日ノ本を奪還するための戦いを始める。
だが、一筋縄ではいかない七人の極悪人。

その一人である『マクベス』は全てを裏切り、日ノ本を自らの手中に収めようとする。

果たして日ノ本を手に入れ世界をその手に収めるのはいったい誰なのか?
七人の悪漢は裏切りの果てにいったい、何を見るのか?
今世紀最大のピカレスクロマンが幕を開ける。

 

公式HP:少年社中20周年記念第一弾 少年社中×東映 舞台プロジェクト【ピカレスク◆セブン】

 

 

 

 

1/11 9列目下手にて

 

 

2017年の観劇納め(る年)も2018年の観劇始めも、キャストをろくに把握しないまま臨む観劇となりました。こういうのもいいよね。

 

社中さんを生で観るのは4作品目です。

正直、今までで一番難しかったかもしれない。

敵味方の分かれ方や思想の移ろい、悪の概念など。いや難しかった。

脳みそキャパオーバーです。考察したがりは複数回見よう。

 

ポスター通り、全員悪、だと思うだろ?

最終的に全員、悪に見えなかったんだ……。極悪人って何だろう。

でも「人はみんな悪人にしかならなかった」という台詞で、ある程度納得。

善人であるはずの人も悪になる。本気の極悪人のはずだったマクベスも、善人でしかなかったはずのイエミツも、結果同じように善悪抱えて生きてんなって印象です。

きれいは汚い、汚いは綺麗、いや、きれいはきれい、汚いは汚い。

今回の口上も熱かった。

 

何故「7人じゃなきゃダメ」なのかとか、何人かのキャラクターの存在理由とか、トクガワイエヤスがイエミツの祖父ではなく父とした理由とか、トクガワがカタカナ表記なのに織田と豊臣は名字だけ漢字表記な理由とか、マクベスとジャックの心境変化の転機とか、まあ色々分からないところもある。

ピカレスクセブン」は最初

イエミツ、マクベス、ジャック、リチャード、フック船長、ピーターパン、織田信長

だったのに、最後は

イエミツ、ジャック、リチャード、フック船長、ピーターパン、黒タイツ、はんぞう

(だっけ?)になったのが地味に混乱した。

あと私まだ見てないのですが、社中さんの過去作品のリチャード三世とネバーランドに絡んでるっぽいですね。リチャードとピーターパンとフック船長の動機的な部分が薄く見えたけど、この2作見ていたらもう少し理解が進んだのかな。

 

 

今回も舞台美術と衣装が本当に素晴らしかった!

特に、毎回衣装が素敵なんですけど今回は色んなテイストがあって見応えありました。大首領の衣装とかオタク絶対好きでしょ。

演出の勢いも素晴らしい。社中さんはOPのノリが最高。自己紹介ソングも楽しかった。

ライティングの演出(イエミツvsマクベスのところ好き)も良い。ライティングはキービジュアルの赤と青の色味がしょっちゅう使われてて一貫した世界観て感じがする。

殺陣も皆さん上手くて感動する。

話が噛みきれなくてもそれなりに満足度が高いのは、視覚的聴覚的のエンターテインメント性が非常に高いのもあるのかもしれない。でぃずにー好きな人とか好きなんじゃない?

 

 

キャストさんに関してなんですが、

まず個人的MVPはトクガワイエミツの宮崎秋人さん。

いや驚いた。とても良い演技をしていた。ふにゃふにゃした演技が上手すぎるよ。

彼の演技はペダルとメサイア(軽く男水)でしか見たことがないのですが、一人だけ、キャラクター性を超えた異質さを感じた。良い浮き方をしていたと思う。

単純に見るとイエミツがダントツで主人公なんですよね。思想から大きな変化を見せたマクベスに対して、思想は白いままに衣装がだんだん黒に近付く。心のベースを保ったまま、前半全く見られなかった心の強さを徐々に身に付けていく様子はとても繊細。

とても心惹かれるお芝居でした。

 

マクベスの鈴木勝吾さんね、この世のものとは思えないほど美しかった。宮崎さんとは別方面で驚いた。この公演期間内で何千人、抱かれたいと思わせたのか。別方面で罪深い。

ただ個人的に美しさのMAXは前半で、後半の善人の顔が見え始めた頃から、「人外の美」がだんだん「人」に近付いていくように感じた。ビジュアルずっと固定なのに、見た目に対する感想が劇中で変わるのは初めて陥る感覚。

その時は「ああ、悪=美なんだなぁ」と思ったけど、本当に美しいのは悪という性質ではなく、「己の意志のままに生きる」ことなのかしら。

 

その他、織田ノブナガ、トクガワイエヤス、トクガワヒデタダ、大首領、フック船長、そうりだいじんあたりがお気に入りです。

ノブナガ様もまた美しすぎた。ジャックの佃井さんも相変わらず素晴らしく可愛くて身体能力が高かった。

 

 

 

良い観劇始めでありました。

今年もこんな風に舞台を楽しみたい。

 

 

 

 

 

★★★