芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

歌劇 46番目の密室

 

本格ミステリー歌劇 46番目の密室』

2023.10.15-22  KAAT神奈川芸術劇場

密室を愛し、密室を憎む、すべての人々に――


クリスマス、北軽井沢。
“密室の巨匠”と呼ばれる推理作家の真壁聖一(津田英佑)主催の集まりに参加した
火村英生(井澤勇貴)と有栖川有栖(矢田悠祐)。
45に及ぶ密室ミステリを発表し“日本のディクスン・カー”と称される真壁が夕食の席で、
「最後の密室ものを執筆中である」と事実上の密室トリック卒業宣言をする。
だが真壁は、密室状態の部屋で無残な姿となって発見される。
果たして真壁は自らの46番目のトリックで殺されたのか――。

https://www.nelke.co.jp/stage/46misshitsu-stage/

 

 

10.19夜  11列センター にて

 

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※原作のネタバレしてます

 

 

 

見たい役者が多かったので。原作読んだ方がいいか同行者に聞いたら、読まない方がトリック楽しめるかもとのことだったので未読のまま。

メインキャストはえーすけさん以外テニミュキャストで、えーすけさんもアニプリキャストっていう。柳生比呂士の誕生日に来たガチ勢(偶然)

平日夜だけど19時開演なのに、2,3階潰しててマジか~ってなった。これだけ歌うまメンツ集めても、リピオタいないと厳しいんだな……。

 

 

すごい!!全員もれなく歌が上手い!!!メンズは分かってたけど、レディースもめちゃくちゃ上手い!!最高!!!ネルケがかき集めた歌える役者アベンジャーズ!!!

ただKAAT………こんなに音響悪かったっけ!?!ペダステや新テニミュで何回か行ってるけど、こんなにボワボワして台詞聞こえづらかったか?カレーライスのくだりとか聞き取れなくて結局なんだ?ってなったし、石町(輝馬)の自白ソングとかあの輝馬の明瞭明朗滑舌をもってしても聞き取れない部分があって、そこ聞けないと私の中で事件解決しないんですけど!?!ってなった。

聞き取れないこと多かったので、演出としてちょくちょく字幕が出てたの有難かった。マジで字幕として機能してた。しかし歌になるとリスニング難易度爆上がりするので、今回歌詞が全て状況説明やセリフと直結してたからしんどいところは多々あった。

特に高音が天井に吸われてる感じがして、女性陣が可哀想だなと思った。パブサすると音響最高という意見しか出てこなくて、私の耳がズレてんのかもしれん。銀劇音響も好きじゃなくてステラボール音響が好きって人間なので。クリアな音響大好き。でも私が何も言ってないのに、初KAATの同行者も「音響悪かった」って言ってたんだよな~。

 

演出もとっても良かった。光の演出も映像の使い方も良くて、綺麗だった。大学のシーンと雪のシーンがいいな。

特に雪の映像表現がすごくて、前スクリーンと奥スクリーンに映像投影することで本当に降らせてるくらい立体的に見える。今回も映像がいつもお世話になってるO-beronさんだったけど、相変わらずとても綺麗で信頼の塊。

あとここまで大規模なセット転換はそうそう見られない。死ぬほどゴロゴロ音するしな(した)。ちゃんとお金かかってる。アンサンブルの方が推してたけど大変そうだなと思った。

顔が焼けたお面、双眼鏡で見るとだいぶグロかったから逆に近くなくて良かった~と思ったし、遠くからみるとエンデヴァーみたいだなと思ったから助かった。ありがとう僕のヒーローアカデミア

 

ちょっと面白かったのが、白樺の森で火村と有栖が「犯人が分かった」「あとはお互いの伏せられたカードをめくるだけだ(キリッ)」みたいな会話の後、有栖が犯人は光司くんや!って言って光司くんがソロで1曲歌い上げたのに、火村が俺と違うわ~つってあっさり石町が犯人になったとこ。あれだけ情緒たっぷりに光司くんが「僕には動機があるよ~」みたいなに歌ってこちらも「そうなんだ……」ってなってたのに、いや……ちゃうんか~~~~~いっていう。有栖側の詳細説明もされてないし、逆に光司犯人説が完全に否定もされてないが!?納得が早いよ有栖川有栖!!どんだけ火村信用してんねん。にちかちゃん全然歌わなかったから何としてもソロ入れたかったんかなってなった(そして唯一ソロが与えられなかった本田パイセン(鵜飼))。

これはストーリーの話だけど、佐智子さん(吉沢梨絵さん)がキャラ的にキモすぎて、やっぱ男女の痴情のもつれというものはキッショイなあと思った。子供に自分の再婚資金せびるのキモすぎる。大金持ち真帆ちゃんという状況は良かった。しかしこのくだり、最終的になんも解決してなくないすか?「未成年に相続されたお金に保護者が一切手をつけられないはずが……」のところも「……で?」ってなった。とりあえず真帆ちゃん可哀想すぎる。お金しかない。でもやはりお金、お金が全てを解決する。

通常どんなシリアス舞台でも多少ギャグシーン入れてくるものだが、歌劇46はほぼギャグシーンなかったな。でも殺された2人の謎ダンスとか立ち回りとか、ギャグなのか判断に迷うところはある。演出家のハイセンスギャグなのかもしれない。

船沢(岡本さん)と杉井(チャンへ)のバトルソングサイッッッッコーーーーだった。新テニミュセカステの平等院vs鬼に近い昂りがあった。

有栖が今まで書いてきた文章を消していく演出、全人類好き。

最後の火村と有栖が後ろ向いて煙草吸うシーン、絵作りもシチュエーションもエモエモの美で最高だった。ラストシーンが良い演劇は良い演劇。

 

役者的には、やっぱ輝馬!!!輝馬さんは良い!!ビジュ良いしバーテンのすがたも見られたし犯人役だしで非常に私得で大満足。酔った時に投げ出された脚が長すぎて8割脚見てた。狂気の出し方の塩梅が上手すぎる。ギャーギャー騒ぐだけなら誰でもできるし(言い方)、だんだん狂ってくのもよく見るパターンだけど、まともなフリして瞬間的にクソデカ感情をお出ししてじわじわ恐怖感煽るのが上手い。屋根の上であんなもじもじしてたくせに……(でもあそこ「なんで石町ついてきた?」ってのもあり、いつ火村有栖が屋根から突き落とされるかと無駄にハラハラした。犯人と知る前なのに。)  全然関係ないけど私輝馬さんのTwitter(X)での独身芸が大好きなので、彩子さんと交際云々の話で「でもまあ独身なんだよな…」とフフッてなったし、結婚したらショックで3日くらい会社休むと思う。

矢田ちゃん(有栖)の関西弁、健康に良い。1回だけ噛んだんだけど、下手したら気が付かないレベルにスムーズな巻き返しでさすがだなと思った。矢田ちゃんを最後に見たの2017年アルジャーノンだから6年ぶりだったんだけど、元々歌上手かったのがもっと上手くなってて驚いた。

にちかちゃんはテニミュぶりでしたが光司さんの声質が越前リョーマすぎて、リョーマキャストは選ばれし者の声帯しかなれないんだな……と思った。髪がとぅるんとぅるんで羨ましかった。

飛香まいさん(真帆ちゃん)、ずいぶん若く見えたのでwiki見て二十歳は超えてたことすらびっくりした。めっちゃ歌上手いし声綺麗で良かったなあ。

チャンへさんは、私が新テニミュセカステで見た外道お兄さんの時は合唱で見せ場はあったけどソロでガッツリ歌わなかったので、今回たくさん歌聞けて良かった。ビジュも良かった。顔小さすぎてオペラ使っても見えなかった(そんなことはない)。

てか刑事俳優しゅんりー(大崎)、本田パイセンの後輩なんだ。事件再現として、怖めの演技見たの初めてかも分からん。それもネタでしたが。ずっとシリアスムードの舞台でチョケられるのはしゅんりーだけだ。

 

ペロッ……この男性に対しても妙に艶めかしい歌詞は……三ツ矢歌詞!!と思ったら割と原作ママの表現らしいです。昔ドラマやってた時に、流行ってんな~とは思ったけど、ふーんなるほどね。

今でこそ同性愛的なネタは普通に散見されるけど、31年前の作品でトリックネタにするのは今よりインパクト大きかったのでは?31年前と言えば、劇中有栖が使ってるのがデカいワープロで、今風アレンジでノートPCとかになってないのが好感度高かった。具体的な西暦が出てくるのでそうせざるを得なかったのはあるけど。

 

 

石町の真相聞くと、最初のパーティーシーン見返したくなるなぁ。

本当に役者のレベルが高いし面白かったので、このクオリティでまたやってほしいな~。

 

 

 

 

★★★