芸術に拍手

全記事ネタバレ祭り。レポと感想と妄想が大渋滞起こしてる。

ミュージカル 憂国のモリアーティ Op.4

 

『ミュージカル 憂国のモリアーティ Op.4 -犯人は二人-』

2023.

1.27-29  大阪 新歌舞伎座

2.2-12  東京 天王洲銀河劇場

 

 

https://www.marv.jp/special/moriarty/index.html

 

f:id:toMiharu:20230208223220j:image

 

2.8夜  3階上手ボックス席 にて

 

 

 

体調を崩し仕事が読めずで直前まで、何なら当日定時まで行けるか分からなかったけど、無事当日券で入れた。

軽い気持ちで「モリミュ気になるんだよね~(原作知らんけど)」とか言ってたら、複数人から猛プッシュされ、原作を読み(14巻まで読んだ)、友人に過去Blu-rayを見せてもらい……。Op.2の2幕途中までしか見られなかったけど、生で見ることが至高なのでそこは諦めた。Op.4、どこから始まるかすら分からん。

 

キャスト、キャス変してないのに何故かだんだんテニミュ率が上昇してるのちょっと面白いんだよね……。Op.3からOp.4の間に藤田玲さんがミュキャスになること予想出来た人は究極の未来予測頭脳として世界に保護されるよ。

 

3階ボックス席初めて座ったけど、平面軸距離は実質J列だし、こんな上から舞台観られることそうそうないからとても楽しかった。スーパー貴族席だったからOp.1だったら余裕でエンダースごっこしてたよね。というか絶対やってた人おるやろ。

特にライティング演出がはっきり分かって面白いので、今後テニミュとかも3バルサイド狙いで当券行くのありだなと、人生の選択肢が増えた。映像じゃ絶対見られないどころか、想像もできない角度からの観られるのは、劇場だからこそだよね~。

 

 

 

 

 

いや~~~~……………………

 

屋根上のシーン、1000000万円の価値ある。

生で観に来られて本当に良かった……。シャーロックの"友情"に込める感情ウェイトデカすぎ問題に気が狂いそうになったし、自分自身の考えに対する気付きもあったし(真面目)。ついでに「あれ……?憂国のモリアーティって……やばくない……?」と本気で気付いてしまったのが、原作このシーン読了時の感想。

そこに言葉に生きてる人間の微妙なニュアンスや息遣いが付加されると、ヤ~~~~~バい。「なんで結婚するんだ?」のニュアンスも色々あるじゃん。やっぱ大事な話はメールより対面だよねと思いました。

もっと近くの席orオペラで見てたら表情の視覚情報も得られてたんだろうけど、オーバーキルなのでオペラ忘れてて良かった、逆に。

 

シャーロック、屋根上を見て、割と自己犠牲タイプのめちゃくちゃ良いヤツだなと改めて思ったのですが。(ついでにこのシーンで「シャーロック、CCさくらの知世ちゃんみたいだな」と素で思った。)

ラストの投獄後、罪悪感に膝ついて項垂れるシャーロックにめちゃくちゃ……めちゃくちゃさあ………シャーロックがめちゃくちゃ良くて………………いや……………。私のモリアーティ好きキャラソート1位がシャーロックとモランで揺れてたんだけど、なんかもうここ観た瞬間にシャーロック堂々の1位になっちゃった。

人殺しのレッテルを(自他問わず)貼られる1人目の殺人を犯してしまえば、2人殺そうがそのレッテルは変わらないことで、殺人のハードルが途端に下がってしまう"殺人の一線"。この概念がこんなに効いてくるものだとは、原作読んでたとき気付かなかったな……。

シャーロックの"殺人の一線"への理解は極めて理性的にも関わらず、そこを越えた瞬間の"罪悪感"はどう足掻いても感情的にならざるを得ないの、知恵の実を得た"人間"だよ。私はこういう時にこそ「人間らしい」という言葉を使いたいよ。

ホワイトリーも己の手による殺人に対してシャーロック以上に致死的罪悪感を抱く人間だったけど、ホワイトリーの場合はそもそも殺人の一線とか考えたことすらなかったと思うんだよね(そして考える間もなく感情で越えてしまった、越えさせられてしまった)。でもシャーロックは多分、体術を取得し銃の扱いを学んだ頃から考えていただろうし、絶対越えない意識もあったはず。そこでミルヴァートンが現れて、親友(達?)を救うには殺さなきゃいけなくて………………。

それであの項垂れよ………シャーロック………………本当に……良いやつ……………踏んづけサンドを回収するシャーロックもどイケだよ………。

 

 

 

先にシャーロック語りしちゃったけど、順を追って。

 

藤田さんの声のマイク乗りが1人だけぶっちぎりすぎて笑っちまう。1幕終わった瞬間、最初にツイートしたのこれ。マジで声もよすぎて、ミルヴァートンの台詞一発目の冒頭1秒くらい「Ladies and gentlemen…」のアナウンスしてるんかと思った。日本語話してるのに発声が英語みたいなんだよな。それでいて聞き取りやすさもダンチ。強キャラすぎ。

ミルヴァートン、2幕の221B訪問まで、いっっっっっっっっさい一番下のステージに降りてこなかったの、サイコーだったな。分かりやすく高みの見物してて。

 

構成がめちゃくちゃ良かったな。

1幕はモリアーティ陣営中心で2幕はホームズ陣営中心。メインのストーリーもハッキリ分かれてる。そこからラスト、一気にミルヴァートンの話に収束する感じが非常に気持ち良い。

幕間では、1幕のホワイトリーの話だけで1公演として終われるやんけと思ってたけど、終演後はこのOp.4で一気にやる理由がよく分かった。この流れとか対比構図は、漫画一読では気づけなかったな。

 

1幕はホワイトリー好きなんだよなーと改めて思えて良かった。

己が善であり正であるという意識が強すぎると、たとえ本当に正義であったとしても胡散臭く見えてしまう。だから最初の方は「こんな危ういキャラだったかな」とすら思った。

でも話が進んでホワイトリーのバックボーンや行動を知ると、真に誠実な輪郭がだんだんちゃんと見えてくるんだよね。ここ川原さんもとっても上手いなと。てか川原さんあんな歌上手かったの知らんくてビビった。

公園の車椅子の子供たちのシーンはちょっと泣いた。

 

しゅんりーが本当に良すぎるし、毎日Twitterでかわいい面白動画上げてたの素晴らしい。ワッフル食べて「おいしー」は懐かしすぎるし似て非なるものなのよ。*1

護衛選抜のシーンは軽く日替わりっぽかったけど、あんなに笑い起きるのにびっくりした。観劇日がとっくに折り返してる日だったから、日替わり言えど割と擦られててウケづらい印象あったので。

 

2幕、原作読んでから1ヶ月も経ってないのにメアリーの揺すられネタを完全に忘れてて、初見の気持ちで観られてよかった。やっぱ根本的にストーリー面白いわ。

メアリー役の山内さんの歌声がとっても私好み。高音綺麗。きっとシャーロック査定でも、歌声点としてポイント加算されているでしょう。あんまりソロがなかったのが残念。

いっけーさんはテニミュ時代から元々下手ではなかったけど特筆して上手い印象はなかった。そしたらなんかめっちゃ上手くなってた。ロングトーンのぶち抜き良すぎて痺れた。

 

3階ボックスから見ると完全暗転した時、ステージのバミリが満天の星空みたいで良かった。というか舞台にあんなにバミリあるの初めて知った。ミル邸に侵入するシーンの暗点で、星まで情景として見えてたのは多分3階席組だけだよ。ラッキー。

 

ミル屋敷での乱闘は幻想を見た。魂に刻まれた殺陣やぞ。

メサイア(モラン)……?

メサ(フレッド)………!

メサい(ルイス)……………!!

……………メサイアじゃない(アルバート)!!!!

と正気を取り戻したけど、くぼひでさんももしかしたらメサイア出てたかもしれない(出てない)。

 

ミル詰めシーンめっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ

ちゃ良かったな!!!!!!盛り上がりがすごい!

その前にミルヴァートンの勝ち確アピールシーンでは、藤田さんめちゃくちゃ強くてめちゃくちゃ上手いのに、紫のスポットライト当たった瞬間にどう見ても負け確の匂いを感じざるを得ないの、すごいよ色々と。さっきまで絶対死ななそうな強キャラだったのに。西森演出における紫=死、の印象があるからだろうか。

 

ルイスとフレッドによる、ウィリアムに捧ぐ愛のうたヤバいな……と思ってたけど、その前にモランもソロで愛のうた歌ってるし、終盤で満を持して長兄が呪いにまで至る愛のうた歌うから、ヤバいなってなりました。まっすぐ一直線すぎて逆にこじれとる。

てか鈴木勝吾さんの歌バカウマすぎて、帝劇立ってないの世の中の不条理だし関係者の耳どうなってんの?(オブラート暴言)  Op.1の円盤見た時は高音怪しかったけど、今や安定しすぎ。スパッと音出してくれるの気持ちいー。

平野さんの歌は、文劇でネタ的にワンフレーズ歌ってたり、るひまで聴いたかなレベルで、初めてまともに聴いたような。今までストレートでしか見たことないの勿体なかったな……とすら思ってしまった……なまじ演技も上手いばかりに………スゲー難しいメロディーライン操るじゃん………。

 

1幕も2幕もずっと上手がシャーロックサイドで、上手の私はキャッキャしたんだけど、カテコの並びだけシャーロックが下手で、おや、となった。

兄弟は下手なのに、シャーロック挟んで上手にウィリアムがいる並び。ミルヴァートン含めたトライアングルフォーメーションでも上手シャーロック下手ウィリアムだったし、(これは偶然かもしれないけど)Op.1~4全てのキービジュで右がシャーロック陣営、左がウィリアム陣営なんだよね。過去作はどうだったか覚えてないが、何かしらの意図はあると思うんだよな……。

 

 

しかし相変わらず銀劇の音響がな………わたし銀劇の音響あんま良くないと思ってたんだけど、Twitter見ると良いって人も多いから、銀劇音響"苦手"と言った方がいいのかもしれない……。他が最高劇場なのに音響だけ苦手だから辛い。これミューマギの時も思ったけどミューマギもサイド寄りだったから、席位置の影響もあるかも。というかマジであるっぽい。位置でここまで影響出るのもどうなのって話ですが。

基本的に、今回の藤田ミルヴァートンみたくマイク乗りが良い声じゃないとかなり台詞が聞き取りづらいし、とにかく合唱の歌詞は全く聞き取れなくて致命的だった。あと早口台詞がほんと~~~に聞き取れなくて、滑舌悪くないはずの平野シャーロックの早口推理が全然聞き取れなくて泣いた。ラスト付近の、リアムコーラスでシャーロックが重ねる合唱での歌詞(どういうシーンか失念)、めちゃくちゃ聴きたかったのに全然分からんかった。なんか音がぼわぼわして、次の音に被る感じするんだよな。

確かに耳が痛い系の音が一切しないのは良いんだけど、それにしても「この人の歌の上手さならもっと音の厚み出てるはずだよな…」みたいな感じがすごくしたので、歌に関してはただひたすら「勿体ない」という感想。雰囲気はダントツで銀劇が合ってるけど、ステラボールでもモリミュ見てみたかったな。(ステラ音響好き)

 

 

 

 

総合的にはめっちゃ良い演劇体験でした。周りの話を聞く限り橋までやると思ってたから、橋を観に来たつもりがうっかり忘れてた屋根上にぶっ刺されたね。生で観られて良かった~。橋を観に、Op.5も行かなきゃじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

★★★

*1:ミュージカル黒執事のアバーライン警部時代のネタ